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リシテア
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それじゃ、わたしが知っている範囲で 話しますけど……
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フェルディナント
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ああ、頼む。
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リシテア
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フェルディナントも「フリュムの乱」に ついては知ってますよね?
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フェルディナント
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もちろんだとも。中央集権化を打ち出した 皇帝イオニアス9世に対し……
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フェルディナント
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同盟領に近いフリュム家が、帝国からの 独立と、同盟への参加を画策。
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フェルディナント
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同盟のコーデリア家の協力を得て叛旗を 翻したものの、帝国によって討伐された。
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フェルディナント
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以降、フリュム領には傀儡の当主が 立てられることになり……
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フェルディナント
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実際の統治は、隣人である我が エーギル家が担うこととなった。
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フェルディナント
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まあ、この件を機に、貴族たちは権力が 皇帝に一極化することを恐れ……
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フェルディナント
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それがイオニアス9世から六大貴族が 権力を奪う事態に発展するのだが……。
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リシテア
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「七貴族の変」ですね。六大貴族なのに 七貴族の変って、わかりにくいですけど。
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フェルディナント
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六大貴族には、権力を失ったフリュム家は 含まれないが、七貴族には含まれるのだ。
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リシテア
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無駄にややこしいですよ。 それはそれとして、七貴族の変の後……
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リシテア
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エーギル公がフリュム領をどんなふうに 統治していたかは知らないんですよね?
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リシテア
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エーギル公は、自領よりも重い税を課して、 領民の暮らしは苦しくなりました。
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リシテア
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隣接するコーデリア領に逃げてくる領民も 後を絶ちませんでしたけど……
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リシテア
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みんな送還されました。コーデリア家も 帝国の介入を受けていましたからね。
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リシテア
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そして更に問題が深刻化したのは、 エーギル公が失脚した後です。
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リシテア
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宰相を罷免されたエーギル公に代わって フリュム領を任されたのは、アランデル公。
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フェルディナント
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エーデルガルトの伯父、 かつて帝国の摂政だった者か……。
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フェルディナント
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エーデルガルトの伯父、帝国の摂政か……。
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リシテア
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アランデル公は、エーギル公よりも更に 重税を課し、民の生活を締め上げました。
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リシテア
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好き勝手な徴兵も行い、逆らう者は 容赦なく殺したんです。
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リシテア
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しかも……それをエーギル公の名において、 行っていたようですよ。
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フェルディナント
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まさか……!?
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リシテア
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あんたの父親も、決して立派な統治者では なかったかもしれません。でも……
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リシテア
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民衆の恨みをすべて向けられることに なったのは、アランデル公が仕組んだこと。
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リシテア
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だから……今回のエーギル公のことを、 自業自得と切り捨てないであげてください。
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フェルディナント
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……教えてくれてありがとう、リシテア。 何も知らなかった自分が恥ずかしい。
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フェルディナント
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自業自得だけではないことは理解したが、 それでも父は道を誤り、民を苦しめた。
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フェルディナント
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父はもう、その罪を償うことはできない。 父が犯した過ちは、私が償わなければ。
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フェルディナント
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この戦争の後で、私に何ができるのか、 これからじっくりと考えてみるよ。
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リシテア
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……じっくり考えたいのなら、甘いお菓子が 必要ですね。甘味は頭の栄養ですから。
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フェルディナント
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……ん?
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リシテア
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将来はともかく、今あんたがやるべきことは 甘いお菓子を手に入れること、です。
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フェルディナント
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……わかったよ。 見つけたら君にもお裾分けしよう。