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アッシュ
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ええっと……。
確か、書庫の机に置きっぱなしに……。
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アッシュ
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珍しいですね。
フェリクスが読書だなんて。
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アッシュ
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もし気に入ったなら、貸しますよ。
僕はもう、読み終わったので。
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フェリクス
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……要らん。
誰のものか、確かめたかっただけだ。
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アッシュ
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なら、是非読んでみてくださいよ。
きっと気に入ると思います。
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アッシュ
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騎士道物語の王道からはちょっと外れた
筋書きなんですけど、これがまた良くて……
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アッシュ
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やっぱり、フェリクスも
こういう騎士道物語が好きなんですか?
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アッシュ
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食わず嫌いはもったいないですよ。
騎士道物語、面白いと思いますけど……。
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アッシュ
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何がって……やっぱり、物語に出てくる
騎士は、みんなかっこいいですよね。
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アッシュ
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友情と忠義を重んじ、正義を貫く……
僕もああなりたい、って憧れます。
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フェリクス
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そんな作り話にのぼせ上がるような
人間ほど、無駄死にする。
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フェリクス
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友情、忠義、正義……そんなもののために
命を捨てる愚者を、英雄と囃し立てる。
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フェリクス
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思想を統制するという意味では、
暴君よりもよほど性質が悪いな。
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アッシュ
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そ、そこまで言わなくたって
いいじゃないですか。僕は、ただ……。
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フェリクス
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だが、理想に熱を上げるのは
ほどほどにしておくことだ。
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アッシュ
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フェリクス……。
君って人は、本当に……。
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アッシュ
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本当に……
この物語の主人公そっくりですね!
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アッシュ
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口が悪くて、近寄りがたくて……
だけど実は仲間思いで、すごく優しい。
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アッシュ
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この物語は、そんな孤高の騎士が、
仲間と共に英雄になっていく話なんですよ。
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フェリクス
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……チッ、気色悪い。
そう目を輝かせて俺を見るな。
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アッシュ
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うん、そういう言い方も、
やっぱりこの主人公そのものです!
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アッシュ
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あ、そうだ、フェリクス。
やっぱりこの本は、君に貸しますね。
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アッシュ
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騙されたと思って読んでみてください。
読んだら、感想聞かせてくださいね。