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ディミトリ
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どうしたハピ、珍しいな。
訓練に来た……ようには見えないが……。
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ハピ
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思い出したから、忘れる前に聞いてよ。
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ディミトリ
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思い出した? ……ああ、もしかして以前、
俺の顔を見て唸っていたあの件か?
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ハピ
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え? よくわかったね、キミ。
まーいいや、アンゼルマさんって知ってる?
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ディミトリ
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アンゼルマ……ああ、もちろん。
だが、どうしてお前がその名を知っている?
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ディミトリ
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それは、俺の継母が帝国にいた頃の名だ。
王国では、パトリシアと名乗っていた。
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ハピ
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あー、なるほどね。
そういうわけか。納得じゃん。
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ハピ
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すっきりしたし、ハピ、寝よっと。
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ディミトリ
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いや待て、勝手に納得して勝手に帰るな。
……お前、継母上を知っているのか?
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ハピ
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ハピを閉じ込めてたおばさんの、
古い友達だって。何度か会ったよ。
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ハピ
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おばさんがあの人を王国に連れてきた、
って言ってたけど……詳しくは知らない。
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ハピ
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その人が怒ってくれたんだよね。
ディミみたいに、ハピの代わりにさ。
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ハピ
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それだけじゃなくて、いろんな言動が似てる
気がするよ。キミとキミのお継母さん。
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ディミトリ
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今まで、そう意識したことはなかったが……
それほど似ているのだろうか。
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ハピ
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うんうん、よく考えれば……挨拶とか、
本のめくり方とか、そっくりじゃん。
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ハピ
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同じように怒って、同じこと言って。
ホント驚いたし。
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ディミトリ
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継母とは血も繋がっていないんだが、
そう言われると……不思議な感じがするな。
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ディミトリ
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継母とは血も繋がっていないんだが、
そう言われると……少し嬉しいな。
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ディミトリ
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あの人は、俺を育ててくれた人だから。
言動が似るというのも、あり得る話か。
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ディミトリ
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だが、お前が顔を合わせたという相手が
継母だとするならば……少し、不可解だな。
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ハピ
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何で? フツーに来てたけど。
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ディミトリ
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立場上、俺の継母は外部との関係を
完全に……と言っていいほど絶っていた。
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ディミトリ
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父が継母を後妻として迎えたことを
把握していたのも、ごく限られた者だけだ。
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ハピ
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ふーん、よくわかんないけど、
ハピも黙っといたほうがいいのかな。
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ディミトリ
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いや、そこまで気を遣わなくてもいい。
吹き回りさえしなければ、それで十分だ。
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ディミトリ
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今になって考えれば、父と継母の婚姻は
多くの者の思惑を孕んでいたわけだが……
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ディミトリ
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俺が不可解に思ったのは、お前の言う
「おばさん」とやらの存在だ。
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ディミトリ
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かつて政争で国を追われた継母を、王国に
迎え入れた人間がいるとすれば、それは……
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ディミトリ
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……いや。今はやめておこうか。
この件については憶測で語るべきじゃない。
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ハピ
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えー? せっかくスッキリしたのに
思わせぶりなことだけ言うの?
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ハピ
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気になって眠れなかったら困るじゃん。
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ディミトリ
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はは、眠れなければ、ここに来るといい。
俺はしばらく、稽古を続けるつもりだから。
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ディミトリ
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彼女を捕らえていたというのは、
やはり……あの女、なのだろうか。