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マヌエラ
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そして疼く思いを抱えたまま……♪
角弓の風が夏の終わりを告げる……♪
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マヌエラ
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ローレンツ、聴いてくれた?
どうだったかしら?
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ローレンツ
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……素晴らしかったです。
歌の女神もかくやというほどでした。
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ローレンツ
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切なく、もどかしいだけでない、
包み込むような歌声で……。
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ローレンツ
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人生経験に裏打ちされた深い感情が、
歌に込められていた気がしました。
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マヌエラ
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あら、人生経験が長くて悪かったわねえ。
あたくしのこと、おばさん扱いして。
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ローレンツ
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そ、そういうわけではなく!
ただ、貴女らしい解釈をされたなと。
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マヌエラ
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うふふ、解釈だなんて。
何も考えずに歌っているのよ、あたくし。
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マヌエラ
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詩に心を委ねると、
自然と感情が乗っていくの。
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ローレンツ
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それが才能というものなのでしょうね。
貴女の歌声は聴く者の心を揺り動かす。
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ローレンツ
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また聴かせてくれませんか。
次は、もっと近くて聴いてみたい。
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マヌエラ
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いいわ、次は二人っきりで、
あなたのためだけに歌ってあ・げ・る。
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マヌエラ
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うふふ、からかってなんて。
……ねえ、また詩集を見せてくれる?
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マヌエラ
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新しい曲を作りたいの。
出来たら一番にあなたに聴かせるから。
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ローレンツ
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いえ、それは……。
そもそも僕の詩など、趣味の域を出ず……。
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マヌエラ
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それがいいのよ。
飾らない言葉、正直な感情……
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マヌエラ
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とっても心を打たれたのよ、あたくし。
等身大のあなたの詩に。
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ローレンツ
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……無様に悩み苦しむ姿が、
人の心を掴むこともあるのですね……。
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ローレンツ
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……わかりました。こちらをどうぞ。
書き溜めたものから気に入った詩があれば。
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マヌエラ
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……あら? これは……
この前の詩の続き、なのかしら?
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ローレンツ
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それは、その……。貴女の歌を聴いて、
つい書きつけたものです。
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ローレンツ
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歌声に背中を押してもらえた気がして……、
僕も諦めず前へ進もうと、思えたんです。
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マヌエラ
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不出来だなんて、とんでもないわ。
……ありがとう、ローレンツ。
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マヌエラ
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あたくしの歌声にそんな力があるのなら、
あたくし、これからも歌い続けるわ。