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ロドリグ
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……一部が廃墟になったとはいえ、
この修道院は、変わらんものですな。
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ロドリグ
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私も、若い頃はここの士官学校で学んだ。
訪れるたび、あの頃を思い出します。
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ロドリグ
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……ベレト殿。
こんな夜遅くに、どうしたんです?
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ロドリグ
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ベレト殿、もしよろしければ
少しばかり話に付き合ってくれますかな。
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ロドリグ
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ありがたい。
ではこちら、失礼しますよ。
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ロドリグ
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……私の、上の息子は出来が良くてね。
15歳で騎士の叙任を受けた。
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ロドリグ
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倅が陛下から剣を授けられた時のことは、
今でも鮮明に覚えていますよ……。
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ロドリグ
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死にました。9年前に、ダスカーでね。
城に帰ってきたのは、剣と鎧だけだった……
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ロドリグ
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あの時はフェリクスに、悪いことを言った。
あれが私を嫌うのも道理ってもんです。
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ロドリグ
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どれほど嘆いても、死者は戻ってこない。
その言葉を聞く術なんて、どこにもない。
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ロドリグ
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だからこそ、彼らの存在は呪いのように
今を生きる人間を縛りつけるんです。
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ロドリグ
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彼らを大切に思えば思うほど
雁字搦めになって、苦しむことになる……。
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ロドリグ
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……私は、今の殿下を、愚かだと
叱ってやれるほど、強い人間じゃあない。
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ロドリグ
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ええ。叱りつけて、立ち上がらせてやるのが
我々大人の役目なんでしょうね。
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ロドリグ
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……散々偉そうなことを言いながら、
要するに、私は大人失格ってことですねえ。
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ロドリグ
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ええ……我々も、この戦争が始まってから
数え切れぬ将兵や民の死を見てきた。
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ロドリグ
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……ベレト殿。あの方を、
ファーガスの未来を、頼みますよ。
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ロドリグ
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はは、少しばかり大げさな言い方を
してしまいましたか。いや、失敬。
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ロドリグ
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おお、なかなか肝の据わった御仁だ。
セイロス教団を背負って立つだけある。
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ロドリグ
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なに……王都を取り戻せだとか何だとか、
そんなことを言うつもりはありませんよ。
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ロドリグ
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貴殿には最後まで、あの方の復讐心を
否定し続けてやってほしい。それだけです。
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ロドリグ
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……さて。リーガン家からの承諾も無事に
得られたことだ。後は出立するのみです。
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ロドリグ
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グロスタール領を抜け、ミルディン大橋を
突破すれば、そこはもう帝国の領内。
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ロドリグ
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どうです、ベレト殿。
覚悟は決まりましたかな。
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ロドリグ
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……はは、心配は無用です。私の育てた兵の
精強さを甘く見てもらっては困る。
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ロドリグ
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士官学校で
青獅子の学級を受け持ったのが、
貴殿で良かったと思います。