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イングリット
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アッシュ。そんなに慌ててどうしたのです。
それに、大事そうに抱えているのは……?
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アッシュ
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えへへ、街で見つけた本です。
君に渡そうと思って、買ってきました。
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イングリット
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私のために? ですが、古書など……
値が張るのではありませんか……?
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イングリット
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それに、表紙も綺麗……。
装丁も凝っているし、状態も良い。
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アッシュ
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あはは……値切りに値切ったんですけど、
しばらく節制を強いられる値段でしたね。
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アッシュ
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それは大変でしたけど……どうしても君に、
この物語を読んでほしかったんです。
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イングリット
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……では、読ませてもらいましょう。
あら? この扉絵の騎士は……。
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アッシュ
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とってもかっこいいですよね。
見つけた時は、つい見とれちゃいました。
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アッシュ
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はい、そうなんです!
彼女は実在した人物なんだそうですよ。
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アッシュ
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彼女は紋章を持つ貴族の家に生まれながら、
王に剣の腕を認められて騎士となった。
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アッシュ
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王の右腕として幾多の戦場を渡り歩き、
その生涯を祖国に捧げ……
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アッシュ
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……あ、すみません! あんまり話したら、
読む楽しさが減っちゃいますよね。
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アッシュ
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ええっと、ともかく、僕は、その……。
君に……笑ってほしかっただけで。
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イングリット
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……ありがとう、アッシュ。
私を励ましてくれているのですね。
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イングリット
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確かに、私が騎士として生きていくのは、
簡単な道ではないのかもしれません。
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イングリット
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……大きな痛みや後悔を背負いながら、
生きていくことを強いられるかもしれない。
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イングリット
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ですが……私は、その夢を追い続けたい。
あなたと話していると、そう思えてきます。
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イングリット
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そもそも、簡単に諦めるなんて、
私らしくありませんからね。
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アッシュ
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……あはは。
それでこそ、いつものイングリットです。
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アッシュ
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はい! 読み終わったらまた、
騎士についてゆっくり話をしましょう。
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アッシュ
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物語の中の騎士だけじゃなく……
僕たちの、理想の騎士の姿についても。