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ヒルダ
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なんか最近、息が詰まることばっかり……。
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ヒルダ
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クロードくん、息抜きにまた、
子供の頃の話でも聞かせてよー。
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クロード
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ああ? じゃあ、ガキん時に親父から
聞いた、異国の昔話でもしてやるよ。
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クロード
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昔々、群れからはぐれて迷子になった
白いラクダがおりまして……。
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ヒルダ
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うっうっ……良がっだねー、白ラクダ。
死んじゃうのかと思っだよおおおー。
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ヒルダ
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感動じだよおお……。クロードくん、
この話の良さがわがんないのおおー?
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クロード
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今まで塵ほども良いとは思わなかったが……
お前の号泣を見られた点は評価すべきだな。
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クロード
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お前、いつも嘘泣きばっかりだったろ?
瞳を潤ませて、いかにも悲しいですって。
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ヒルダ
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ひっどーい!
いつも本当に悲しくて泣いてるもん!
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クロード
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お前がどう言おうと、わかるもんは
わかるんだ。いい加減、腹割って話せって。
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ヒルダ
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……そっか。もしかしてさ、あたしのこと
わかるのって、クロードくんも同じだから?
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ヒルダ
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クロードくん、嘘笑いすること多いでしょ。
そういうの、あたしにはわかるんだよねー。
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ヒルダ
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本気で笑ってるっぽい時もあるけどさ。
例えば……先生と話してる時とか?
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クロード
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……こりゃ参ったな。
確かにそうかもしれない。
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クロード
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その点に限って言えば、
確かに俺とヒルダは同じだ。
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クロード
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けど、よくわかったな。
俺のことずっと観察してたのか?
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ヒルダ
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そうだよー。クロードくんのこと、
気になってつい目で追っちゃうから……
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ヒルダ
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って待った待った、今のはなし!
クロードくん、今の、忘れてー?
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クロード
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いやいや、忘れたくても俺のこの小賢しい
頭が忘れさせてくれないって。……悪いな。
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クロード
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それに俺がヒルダの嘘泣きをわかったのも、
お前をずっと目で追ってたからなんだぜ?
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クロード
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……なあ、ヒルダ。いろいろと片づいたら、
俺の家族や、師匠に会ってみるか?
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クロード
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おっと、勘違いすんなよ。ただ、俺の家族に
興味があるみたいだったからさ。
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クロード
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何より、ヒルダはいろいろ話してくれたが、
俺はまだ、この腹の内を晒しちゃいない。
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クロード
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俺の親にさえ会えば、それがわかると思う。
……ま、驚かしちまうかもしれないけどな。
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ヒルダ
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クロードくんの家族に、ねー。
ふーん……まあ、ちょっと面白そうかも。
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クロード
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それじゃ、その時までに互いの気が変わって
なかったら……一緒に来てくれ、ヒルダ。
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ヒルダ
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あ……でも長旅になるなら、
兄さんが許してくれないかも……。
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クロード
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ああ……そりゃ確かに、
“フォドラの首飾り”並みの難関だな。