link
ディミトリ
volume_up
……とうとう地上でも一本取られたか。
腕を上げたな、イングリット。
link
イングリット
volume_up
い、いえ、今のはまぐれのようなものです。
いずれきちんとした形で……
link
ディミトリ
volume_up
いや、どんな形だろうと勝ちは勝ちだ。
ここが戦場なら、俺は死んでいただろう。
link
ディミトリ
volume_up
迷いのない、良い槍さばきだった。
やはり、何か心境の変化でもあったのか?
link
イングリット
volume_up
……以前、お伝えしましたよね。
殿下のおかげで前に進める、と。
link
ディミトリ
volume_up
ああ、そうだったな。
……あれは、どういう意味だったんだ?
link
イングリット
volume_up
……ずっと目を逸らし続けてきた真実を、
ようやく受け入れることができたのです。
link
イングリット
volume_up
グレンは、きっと無念だった。なのに、
私自身がそれを認めたくなかったのだ、と。
link
イングリット
volume_up
彼の本当の姿を捻じ曲げ、自分の理想を
押しつけ、目を背け続けてきた、と……。
link
イングリット
volume_up
……殿下。私は、他の誰かのために
自分の命を投げ出したりなどしません。
link
イングリット
volume_up
……ですが、誰かのために生きることは
許してくださいますか、殿下?
link
イングリット
volume_up
命を投げ打つという意味ではなく――
私はあなたに、私の人生を捧げたい。
link
ディミトリ
volume_up
……待て。それは、
どういう意味で受け取ればいい?
link
ディミトリ
volume_up
イングリット。
この戦いが終わったら、お前には……。
link
ディミトリ
volume_up
………………。
……騎士として、俺を支えてほしい。
link
ディミトリ
volume_up
……そう、言おうと思っていたんだ、
前々から。気が合うな、俺たちは。
link
イングリット
volume_up
……騎士として、ですか。
あ、えっと、いえ! 何でもありません!
link
イングリット
volume_up
もちろん、言われずとも私は、殿下の
……そ、祖国のため、戦うつもりでした。
link
イングリット
volume_up
共に参りましょう、殿下。
まずは、この戦乱の終わりを目指して。