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ギルベルト
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5年の間、瓦礫の下で生き続けていたとは。
……不思議なこともあるものです。
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ギルベルト
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お聞きしたいことは尽きませんが……
今は、これくらいにしておきましょうか。
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ギルベルト
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5年前のあの日、帝国軍との戦いの中で
レア様は行方知れずとなりました。
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ギルベルト
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それ以来、騎士団はレア様を……そして、
あなたの行方を捜し続けてきましたが……
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ギルベルト
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……今のところ、有力な手掛かりは
得られていないと聞いています。
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ギルベルト
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帝国から何の声明もない以上、討たれたとは
考えにくいのですが、しかし……いえ。
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ギルベルト
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とにかく、あなたが生きていたと伝えれば
すぐに皆、大修道院へと集うことでしょう。
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ギルベルト
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……5年前、あの戦いの後
フェルディアで、ある事件が起きました。
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ギルベルト
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摂政を務めていたリュファス様が、
何者かに殺害されたのです。
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ギルベルト
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私は……かつて騎士として王家に仕えた身。
騎士団を辞し、王国へと帰参しました。
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ギルベルト
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何を馬鹿なことを!
リュファス様を殺したのが殿下だと!?
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コルネリア
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ええ。警護を掻い潜り、あんな殺し方が
できるのは……殿下くらいではなくて?
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ギルベルト
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……殿下にとってリュファス様は実の伯父。
肉親を殺すような真似など、あの方には!
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コルネリア
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でも、昔から仲がよろしくなかったでしょ?
古い臣下の間では有名な話ですわよね。
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コルネリア
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元々リュファス様には“ダスカーの悲劇”に
関与していたという噂もありましたわ。
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コルネリア
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何らかの確信を得た殿下が、怒りのままに
殺してしまったのかもしれない。
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コルネリア
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ふふ……まあ、今となっては
何もかも、どうでもよいことですけれど。
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コルネリア
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刑の執行は明後日……
この日をもって、王家の血統は途絶える。
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コルネリア
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……指をくわえて見てろ、老いぼれ。
お前が愛し、仕えた国の最期をな。
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ギルベルト
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……それから間もなく、
刑の執行が宣布されました。
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ギルベルト
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殿下の死により王家ブレーダッドの血は
排除されることとなり……
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ギルベルト
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その後のコルネリアの動きは、
先程説明したとおりです。
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ギルベルト
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処刑の様子や遺体が秘匿されたことから、
殿下の生存を信じ続ける者もいましたが……
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ギルベルト
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……私があの方の生存を考え始めたのは、
3年前、ある噂を耳にした時でした。
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ギルベルト
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帝国軍小隊への前触れなき襲撃、
王国内での、相次ぐ帝国将官の惨殺事件……
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ギルベルト
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その手口はどれも残忍で凄惨、人の手による
殺しとは思えぬものばかり、などと……。
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ギルベルト
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……それらの噂を追い、各地を捜索するうち
考えは確信に変わりました。
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ギルベルト
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そして……殿下の元に辿り着いた。
……辿り着いてしまったのです。
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ギルベルト
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……あの方は、深い憎悪と孤独の中に
身を置き過ぎたのでしょうね。
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ギルベルト
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私は、殿下と話をしてきます。
少し長くなるかもしれません。
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ギルベルト
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まともに話せる状態であれば良いのですが、
我々の言葉など、きっと……。……いえ。
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ギルベルト
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……あなたもお疲れでしょう。
今のうちに休息を取っておくべきかと。