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ベレト, ディミトリ enter the scene
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ディミトリ
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……ここは静かだな、先生。
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ディミトリ
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そう言えば、先生は知っているか? 女神の塔にまつわる伝説。
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ディミトリ
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へえ、意外だな。 先生はその手の話が好きな口か?
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ディミトリ
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やっぱり、そうか。 そんなことだろうと思った。
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ディミトリ
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この塔で願いをかけると必ず叶う、なんて ……いったい、どこの誰が考えたのだか。
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信じていない?
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ディミトリ
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伝説は伝説だ。本気で願いが叶うと 思っている者なんて、ほんの一握りだろう。
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ディミトリ
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……女神は、 天上から俺たちを見守るだけだ。
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ディミトリ
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どれほど人が助けを乞うても、 手を差し伸べるようなことはしないし……
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ディミトリ
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仮に女神が手を差し伸べてくれたとしても、 人は、その手を握り返す術を持たない。
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ディミトリ
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……少なくとも俺は、 そういうものだと思っている。
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ディミトリ
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だがまあ、伝説を伝説と割り切って 願いをかけるなら、損はないとも思う。
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ディミトリ
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先生、折角の機会だ。 何か願い事でもしてみたらどうだ。
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ディミトリ
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……俺の、願い事か。
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ディミトリ
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誰も、理不尽に奪われることのない 世界であるように……とか、かな。
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ディミトリ
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ありがとう、先生……。 ああ……、それとも、こういう時には……
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ディミトリ
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お前とずっと一緒にいられるようにだとか、 そういうことを願うべきだったのか?
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ベレト
……?
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ディミトリ
………………。
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ディミトリ
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……はは、どうだった、先生。 俺も少しは、冗談が上手くなっただろうか。
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ディミトリ
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……すまない、何が悪かったのだろう。 言い方の問題か、それとも内容か……。
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ディミトリ
………………。
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ディミトリ
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ええと……その。 実を言うと、反省しているんだ。
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ディミトリ
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学級の皆に、つい、また会おうなどと 無責任なことを口走ってしまったが……
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ディミトリ
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また会おうだとか、ずっと一緒にだとか…… 未来の約束は、すべきではなかった、と。
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ディミトリ
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俺には、命を賭しても、 遂げねばならないことがあるのに、な。
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ベレト
………………。
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ディミトリ
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………………。 ……さて、そろそろ戻ろうか。
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ディミトリ
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俺だけが、いつまでもお前を 独占しているわけにはいかない。
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ディミトリ
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……行こう、先生。