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ディミトリ
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そう言えば、先生は知っているか?
女神の塔にまつわる伝説。
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ディミトリ
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へえ、意外だな。
先生はその手の話が好きな口か?
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ディミトリ
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この塔で願いをかけると必ず叶う、なんて
……いったい、どこの誰が考えたのだか。
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ディミトリ
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伝説は伝説だ。本気で願いが叶うと
思っている者なんて、ほんの一握りだろう。
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ディミトリ
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どれほど人が助けを乞うても、
手を差し伸べるようなことはしないし……
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ディミトリ
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仮に女神が手を差し伸べてくれたとしても、
人は、その手を握り返す術を持たない。
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ディミトリ
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……少なくとも俺は、
そういうものだと思っている。
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ディミトリ
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だがまあ、伝説を伝説と割り切って
願いをかけるなら、損はないとも思う。
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ディミトリ
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先生、折角の機会だ。
何か願い事でもしてみたらどうだ。
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ディミトリ
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誰も、理不尽に奪われることのない
世界であるように……とか、かな。
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ディミトリ
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ありがとう、先生……。
ああ……、それとも、こういう時には……
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ディミトリ
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お前とずっと一緒にいられるようにだとか、
そういうことを願うべきだったのか?
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ディミトリ
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……はは、どうだった、先生。
俺も少しは、冗談が上手くなっただろうか。
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ディミトリ
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……すまない、何が悪かったのだろう。
言い方の問題か、それとも内容か……。
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ディミトリ
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ええと……その。
実を言うと、反省しているんだ。
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ディミトリ
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学級の皆に、つい、また会おうなどと
無責任なことを口走ってしまったが……
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ディミトリ
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また会おうだとか、ずっと一緒にだとか……
未来の約束は、すべきではなかった、と。
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ディミトリ
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俺には、命を賭しても、
遂げねばならないことがあるのに、な。
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ディミトリ
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俺だけが、いつまでもお前を
独占しているわけにはいかない。