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イグナーツ
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ボクは、あなただけに見てほしくて
贈ったのに……!
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イグナーツ
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勝手にみんなに見せるなんて!
しかも大修道院の大広間に飾るなんて!
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イグナーツ
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おかげで……、父にまで
知られちゃったじゃないですか。
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イグナーツ
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あんまり評判になってしまって、
わざわざ兄と一緒に見に来たんです。
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イグナーツ
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そしたら、お前は画家になれって……。
騎士になるより見込みがあるからって……。
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イグナーツ
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ありがとう、先生……。
ボク、諦めてた夢を取り戻せました。
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イグナーツ
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……あの絵は、今のボクにとって、
一番美しいと考えるものを描いたんです。
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イグナーツ
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はい、天上より降臨して人々を導く、
女神ソティスの姿です。
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イグナーツ
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ですが、女神を描いている時、
ボクの頭にあったのは、あなたでした。
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イグナーツ
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ボクにとって、一番美しいと思う存在は、
先生、あなたなんです。
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イグナーツ
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あなたはフォドラの英雄です。
ボクなんか不釣り合いなのはわかってます。
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イグナーツ
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でも、もう自分の気持ちに嘘はつかない。
誤魔化して諦めるのは、やめたんです。
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イグナーツ
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……そう思えるようになったのも、
全部、あなたのおかげです。
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イグナーツ
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あなたはいつも、
ボクの話を黙って聞いてくれた。
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イグナーツ
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ボクが何を言っても否定せずに、
捩じれた心を優しく包み込んでくれた。
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イグナーツ
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ボクにとっての女神は、あなたです。
だから、これからもあなたを見ていたい。
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イグナーツ
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これからもあなたの側にいることを、
許してくれませんか……?
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イグナーツ
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……!? え、今、はいって……?
本当ですか? 相手はボクですよ?
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イグナーツ
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ボク、最後の思い出にと思って、
心にけじめをつけようと思って……
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イグナーツ
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断られると思ってたけど、
正直に言おうって……それなのに……
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イグナーツ
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は、はい……!
すみません、気を失うところでした。
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イグナーツ
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ボク、頑張ります!
あなたに相応しい男になってみせます!
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イグナーツ
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ボクは、ボクの絵で、あなたと、
この世界のみんなを、幸せにしてみせます!
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イグナーツ
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……あ、ちょっと大きいこと
言い過ぎました。すみません……。