link
リシテア
volume_up
……はあ、はあ。今日も訓練のお相手、
ありがとうございました。
link
リシテア
volume_up
わたしは、もう少しやっていくので、
先生は先に戻っていてください。
link
リシテア
volume_up
いえ、もう少しで力の引き出し方を
掴めそうな気がするので……。
link
リシテア
volume_up
先生こそ疲れているでしょう?
わたしのことは……いいので……
link
リシテア
volume_up
……すみません、先生。
倒れるなんて……不覚でした。
link
リシテア
volume_up
先生の言うことを聞いて休むべきでしたね。
かえって迷惑をかけてしまって……。
link
リシテア
volume_up
……どうしても、焦ってしまうんです。
わたしには、時間がないから……。
link
リシテア
volume_up
……かつてコーデリア家が、帝国の人間に
牛耳られていたことは、お話ししましたね?
link
リシテア
volume_up
その際に、怪しげな魔道士がやってきて、
家中の若者に何かの儀式をしていたことも。
link
リシテア
volume_up
……今から18年前、コーデリア家が
帝国の内乱に関与したことがありました。
link
リシテア
volume_up
いえ、実際には救援要請に応じただけで、
政治的な関与はなかったのですが。
link
リシテア
volume_up
内乱の鎮圧後、コーデリア家は責任の一端を
負わされ、帝国から干渉を受けました。
link
リシテア
volume_up
当時の同盟諸侯は日和見で……誰も
救いの手を差し伸べてはくれませんでした。
link
リシテア
volume_up
結果、コーデリア家の重臣は殺され、
代わりに帝国の人間が送り込まれました。
link
リシテア
volume_up
その中に、怪しげな魔道士もいました。
青白い肌の、不気味な魔道士たちです。
link
リシテア
volume_up
彼らによって、家中の若者たちが次々と
捕らえられ、投獄されました。
link
リシテア
volume_up
やがて、恐ろしい儀式が……いえ、実験と
言ったほうが正しいかもしれません。
link
リシテア
volume_up
帝国の監視下、父と母は何もできないまま、
その惨状を見ているしかありませんでした。
link
リシテア
volume_up
みんなが次々と命を落としていく中、
唯一、生き残ったのが……わたしでした。
link
リシテア
volume_up
……わたしね、小さい頃は、
こんな髪の色じゃなかったんですよ?
link
リシテア
volume_up
彼らの実験で、血に何かをされて……
ある日、目が覚めたら、こんな髪に……。
link
リシテア
volume_up
わたしの変貌を見た彼らは喜んでいました。
ついに実験が成功したと思ったのでしょう。
link
リシテア
volume_up
調べてみると確かに、わたしは
この体に2つの紋章を宿していました。
link
リシテア
volume_up
ただし……2つの紋章を得た代償は、
髪の色を失っただけではなかったようです。
link
リシテア
volume_up
魔道士たちからは……
長くは生きられないと宣告されました。
link
リシテア
volume_up
もって5年……
いえ、もっと早いかもしれません。
link
リシテア
volume_up
何らかの理由で、彼らはわたしへの興味を
失くし、コーデリア家から姿を消しました。
link
リシテア
volume_up
ですが、コーデリア家はすっかり力を失い、
自領の統治すらままならない状況です。
link
リシテア
volume_up
父と母には、今までつらい思いをした分、
せめて穏やかな余生を送ってもらいたい。
link
リシテア
volume_up
わたしの願いは、それだけなんです。
だけど、わたしには時間が……。
link
リシテア
volume_up
え……? ですが、この体が
どうにかなるとは……。
link
リシテア
volume_up
……1つ可能性があるとすれば、それは
わたしが宿す2つの紋章を消すこと……。
link
リシテア
volume_up
そんな方法が本当にあるのかわかりません。
それに、もし紋章がなくなれば……
link
リシテア
volume_up
わたしはもう、先生や仲間の役には
立てなくなります。それでも……?
link
リシテア
volume_up
……はい。先生がそう言ってくれるなら、
わたし、諦めません……!