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修道士
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もし、そこの方……
老いぼれの話を聞いてはくれんかね。
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修道士
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わしは生まれてこの方、
ずっとこの街で暮らしてきたんだが……
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修道士
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帝国で暮らしている娘が手紙を寄越して、
日々の礼拝は怠っていないかと……
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メルセデス
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あら~、こんにちは、先生。
この方は、お知り合い?
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メルセデス
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あら、そうだったの~?
てっきり知り合いかと~。
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修道士
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おや、まあ、綺麗な娘さんだ。いやあ、
実はちょっと話を聞いてもらっていてなあ。
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修道士
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日課の礼拝に行こうと思ったんだが、
足を悪くしてしまって歩けんのだよ。
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メルセデス
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まあ、それは大変!
良かったら、お手伝いしましょうか~?
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メルセデス
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街の礼拝堂までで良ければ、
肩をお貸ししますよ~。
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修道士
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おお、ありがたい……! お嬢さんを
遣わしてくれた女神様に感謝せんとなあ。
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メルセデス
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ほらほら~、先生も手伝ってください。
私はこっちの肩を貸しますから~。
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メルセデス
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はい、先生、お疲れ様でした~。
おじいさまもとっても喜んでいたわね~。
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メルセデス
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たいしたことはしていないわ~?
あなたの役に立てたなら何よりよ~。
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メルセデス
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それに、あのおじいさまも
本当に嬉しそうにしていたじゃない~。
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メルセデス
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ふふ、誰かの喜ぶ顔を見てると、
疲れも苦労も吹っ飛んじゃうわよね~。
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メルセデス
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それより先生、
ずっと不思議そうな顔してるけど……?
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メルセデス
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そうねえ、慣れている……
としか、言いようがないわ~。
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メルセデス
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そうなのよ~。困ってる人たちの顔って、
見ていると、すぐにわかるのよね~。
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メルセデス
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さっきは、先生もあのおじいさまも、
二人して困った顔をしていたから。
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メルセデス
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教会暮らしが長かったから、何となく
わかるようになったのかもしれないわ~。
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メルセデス
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あら、先生にはまだ、
話していなかったかしら~?
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メルセデス
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私ね、10年近く、
ファーガスの教会で暮らしていたのよ~。
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メルセデス
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教会には、困り事を抱えた人が
駆け込んでくることも多くって。
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メルセデス
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私も、おんなじように教会に駆け込んで、
司祭様に助けてもらったことがあるのよ~。
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メルセデス
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私、将来は教会で働きたいのよね~。
司祭様みたいな人になりたいの。
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メルセデス
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だけど……う~ん。
なかなか上手くいかないものよね~。
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メルセデス
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もし私が紋章を持たない平凡な人だったら、
叶った夢、だったのかしら~……。
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メルセデス
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ちょっと悲しいけれど……やっぱり、
なるようにしかならないのよね~。
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メルセデス
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だって、私の運命は私じゃなく、
すべて女神様が定めるものなんだから……。