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フレン
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マヌエラさん、以前のお話ですけれど……。
やっぱり気になってしまって。
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フレン
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『煌びやかな場所には、影がある』……
でしたわよね?
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マヌエラ
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あら、冗談だと言ったじゃない。
気にしなくてもいいのよ?
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フレン
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……冗談には聞こえませんでしたわ。
良かったら、教えてくださらないかしら。
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フレン
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煌びやかな世界の、煌びやかな部分だけを
知っても、知ったことにはなりませんもの。
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マヌエラ
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そこまで言うなら……いいわ。
少しだけ話してあげる。
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マヌエラ
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煌びやかな舞台に上がるためにはね、
実力だけじゃ通用しないことも多いの。
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マヌエラ
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お金、人脈、時には暴力さえ使って、
生き残るために皆が必死に足掻いていた。
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マヌエラ
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歌姫と呼ばれたあたくしだって同じよ。
夜は、貴族の接待に余念がなかったわ。
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マヌエラ
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それがどんなに屈辱的で、惨めなことでも、
舞台に上がるためには必要なことだったの。
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マヌエラ
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……どうかしら。あなたみたいな清らかで
可愛らしい人には刺激が強かった?
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マヌエラ
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あるいは、汚いこともやってきたのだと
知って、あたくしに失望したかしら?
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フレン
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いいえ、失望なんてとんでもない!
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フレン
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あなたが大変な世界で、強く生き抜いてきた
ということが、よくわかりましたわ。
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フレン
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それにわたくしも、人が綺麗ごとだけでは
生きられないことくらい知っていますもの。
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フレン
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ですが……あなたが大変な苦労を乗り越え、
強く生き抜いてきたからこそ……
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フレン
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人はあなたの歌に心を打たれ、称えずには
いられなかったのではありませんこと?
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マヌエラ
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……ふふ、急に大人っぽいことを言うのね。
でも、嬉しいわ。ありがとう、フレン。
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フレン
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マヌエラさん、いつかお願いしたこと、
取り消させていただいても?
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マヌエラ
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お願いって?
歌を聞かせてって話かしら?
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フレン
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ええ、そうですわ。そして、改めて
別のお願いをさせてくださらない?
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フレン
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マヌエラさんが舞台の上で演じる歌劇を、
わたくし、どうしても見てみたいんですの。
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マヌエラ
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あら……あたくしが、また舞台に……?
それはまた、無茶なお願いねえ……。
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フレン
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歌劇団を辞めてからも、マヌエラさんは
多くの経験を重ねてきたはずですわ。
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フレン
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かつて歌姫だった頃とは違う魅力が、
今のマヌエラさんにはあると思うんですの。
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マヌエラ
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ふふ……確かに悲恋の物語だったら、
若い頃よりも、上手く演じられそうね。
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マヌエラ
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でも、今は歌劇どころじゃないでしょう?
まずは戦争を終わらせなくっちゃね。
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フレン
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はい! この戦いに、一刻も早く
幕が下りるように、努力しましょう。
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マヌエラ
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ええ、そして、あたくしの歌劇の幕が、
一刻も早く上がるように、ね。
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フレン
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ふふふふふっ、そのとおりですわ。