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アロイス
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駄目か! 手応えはあったのだが……。
いや、ここで引き下がるわけには!
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アロイス
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おお、ギルベルト殿!
このとおり、釣りをしているのだ。
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ギルベルト
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……そうでしたか。それにしては、随分と
大きな声を出していたように思いますが。
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アロイス
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いやあ、魚に逃げられてしまってな!
食いつきはするが、引くのが遅いのか……
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アロイス
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くっ……また駄目だったか!
なぜだ? なぜ釣れん!
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アロイス
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昨日から何度も何度も釣り糸を垂れては
逃げられてばかり……!
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ギルベルト
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失礼、アロイス殿。先程、魚が食いついて
すぐに竿を引き上げていましたね。
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アロイス
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ん? ……ああ、そうだな。とにかく
すぐに引いたほうが、魚が逃げないだろう。
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ギルベルト
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恐らくそれが、
魚に逃げられてしまう原因でしょう。
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ギルベルト
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この釣り堀の魚は、いったん餌を吸い込んで
確かめてから、改めて食いつくのです。
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ギルベルト
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ですから引いている感触の後、
少し待ってから引き上げねばなりません。
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アロイス
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そ、そうだったのか! なるほど、
いくらやっても釣れないわけだ……。
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アロイス
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しかし詳しいな、ギルベルト殿。
もしかして、貴殿も釣りを?
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ギルベルト
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ええ……といっても、嗜む程度です。
たまたま、ここの事情を知っていただけで。
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アロイス
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おお、そうだったのか!
釣り仲間が増えるのは嬉しいことだ。
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アロイス
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実は私もよく釣りをするのだが、ここの
魚の食いつき方にはまるで気づかなかった。
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アロイス
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いやしかし、ギルベルト殿は、
武芸だけでなく釣りにまで長けていたとは!
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ギルベルト
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……光栄です。ですがアロイス殿も、
要領を掴めば釣れるようになりますよ。
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ギルベルト
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もしアロイス殿がよろしければ、
私もご一緒させていただきたい。
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アロイス
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よし、ギルベルト殿という第二の師を得た
今ならば、必ず釣果を上げられるはずだ!