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リシテア
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……リンハルト。
お菓子を並べて、何してるんです?
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リンハルト
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これは、軍で一番お菓子作りが得意な人に、
戦時中にも拘わらずかなりの無理を言い……
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リンハルト
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至高の材料と究極の調理法を揃えて、
作ってもらった、二つの小さなお菓子だ。
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リシテア
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え……すごく気になるんですけど。
わたしにも食べさせなさいよ。
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リンハルト
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いいよ。ただし一つだけね。
それぞれ味は違うけど。
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リンハルト
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元々、僕と君で分けようと思って、
作らせたものだからさ。
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リシテア
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ふーん……ありがとう。
で、それのどこが人生の選択なんですか?
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リシテア
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あんたが選べないって言うなら、
わたしが両方とも食べてあげますけど。
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リンハルト
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駄目だよ。片方を食べたら、
もう片方は絶対に口にしちゃいけない。
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リンハルト
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混ざると毒になるような材料が
それぞれに入ってるから。
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リシテア
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げっ……。
一つなら大丈夫なんでしょうね。
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リンハルト
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もちろんだよ。これは、片方を食べると、
もう片方は味わえないという選択なんだ。
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リンハルト
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相手がどんな感想を言おうと、
どっちが美味しいかは永遠にわからない。
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リンハルト
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もし自分の食べたほうをいまいちに
感じたら、きっと選択を後悔する。
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リシテア
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それでも思い切って、
どちらか選ぶしかないでしょう?
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リンハルト
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2つの紋章を失ってでも、長生きできる
可能性に賭けたいんだろう?
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リンハルト
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もしかしたら2つの紋章があっても、
長生きできるかもしれない。
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リンハルト
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君という存在があれば、紋章学は
間違いなく新たな段階へと進む。
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リンハルト
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一方で、すぐに紋章の力を捨てさせれば、
僕にとって大切な人が……
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リンハルト
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助かるかもしれない。
もちろん助からない可能性さえある。
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リンハルト
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食べるまではわからない。そして食べたら
もう片方は、絶対に食べられないんだ……。
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リシテア
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リンハルト……。
って、ちょっと待ってください。
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リシテア
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わたし、いつの間に、
あんたの大切な人になったんですか。
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リンハルト
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いつだっけ。まあでも君は僕にとって
大切な人だよ。家族にしたいくらい。
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リシテア
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その、どうしてもって言うなら、
考えてやってもいいですけど……
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リンハルト
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あ、そうだ。
このお菓子は二つとも食べていいよ。
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リンハルト
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君の言ったように、選べないなら両方とも
食べるって選択もありだと思うんだ。
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リンハルト
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戦争が終わるまでには、
僕がどうにかしてみせるさ。
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リシテア
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ちょっ、え、あの……リンハルト!?
本当に毒、入ってないでしょうね!