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フェリクス
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……で、どういうことだ、ディミトリ。 そろそろ、説明してもらおうか。
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ディミトリ
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………………? 何の話だ?
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アッシュ
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アランデル公は、殿下とエーデルガルトを 義理の姉弟だと言っていましたよね……?
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イングリット
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義理とはいえ、王と皇帝が姉弟だなんて…… いったい、どういうことなのですか。
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ディミトリ
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……そういえば、まだ話していなかったな。 先生には、ひととおり説明したんだが……。
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ディミトリ
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アランデル公の言葉どおりだ。俺の継母は、 エーデルガルトを産んだ母親にあたる。
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ディミトリ
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政争で帝国を追われた継母を、 父が見初めて娶った。
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ディミトリ
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物心つく前に母親を亡くした俺にとっては ……本当の母のような存在だったよ。
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ディミトリ
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その継母もまた、9年前、父と共に ダスカーで命を落としたのだが、な。
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フェリクス
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……いや待て。そんな話は初めて聞いた。 そもそもお前に継母がいたことも……。
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フェリクス
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……親父殿は、それを知っていたのか?
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ディミトリ
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ああ。ロドリグを含めた、父に近しい者の 間では、知られていることだった。
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ディミトリ
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だが、言ってしまえばただの醜聞だからな。 民衆に継母の存在は伏せられていた。
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ディミトリ
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無論、エーデルガルトと俺が 義理の姉弟であるということもだ。
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メルセデス
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……私、5年前のあなたの気持ちが、 何となくだけど、理解できた気がするわ~。
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メルセデス
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だって、エーデルガルトはあなたにとって 大切な、最後の家族なんでしょう?
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メルセデス
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自分の家族が憎い相手だったなんて ……想像したらつらいわ。とても……。
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アネット
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えっと……でも、別の国で生まれ育ったなら 姉弟でも、面識はなかったはずですよね?
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アネット
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えっと、あたしには、家族と戦う気持ちとか 全然想像がつかないんですけど……
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アネット
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会ったことのない義理のお姉さんに 思い入れなんて持てるのかな、って……。
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ディミトリ
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……エーデルガルトは、わずかな間だが 王都で暮らしていたことがある。
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ディミトリ
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数年間の話ではあるが、彼女とは 友人というか、面識があったというか……
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シルヴァン
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……あ、思い出しました! あれでしょ? あんたが短剣あげたっていう女の子!
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シルヴァン
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はっはーん、なるほど、だから……。
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ディミトリ
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……あのな、シルヴァン。 下世話な話なら、聞いてやるから後にしろ。
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シルヴァン
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ああいや、もちろんそれもありますけど…… これは大事な話でもあるんですよ、殿下。
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フェリクス
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憎むべき仇といえど、皇帝はお前にとって 古い友人であり、義姉なのだろう。
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フェリクス
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……斬れるのか?
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ディミトリ
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……斬る。
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ディミトリ
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だがもし、彼女の理想とする世界が、 俺にも正しいと思えるものであるのなら……
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ディミトリ
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俺は……彼女と手を取り合う 未来があってもいい、とは思う。
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ディミトリ
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だが、その判断に私情を挟むつもりはない。
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アッシュ
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あの、だけど……殿下は、皇帝と 一度話をしたほうがいいと思います。
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アッシュ
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戦わずに済むなら、それが一番です。 家族で殺し合うなんて……間違ってる。
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ディミトリ
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……ああ、そうだな。 俺も、それは……そう思うよ。
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エーデルガルト
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……そう。 間違いなく、伯父様は討たれたのね。
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ヒューベルト
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は、何度も確かめました。 不幸中の幸いと言えましょうな。
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エーデルガルト
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不幸と幸いの釣り合いが取れていないわ。
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エーデルガルト
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何しろ……私たちはこれから、彼らと まとめて相対さなければならないのよ。
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エーデルガルト
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フェルディアを奪還したディミトリ、 同盟を守り切ったクロード……
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エーデルガルト
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そして、実質的に騎士団を動かしている、 あの先生とね……。
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ヒューベルト
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……さて、陛下。 いかがしますかな?
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エーデルガルト
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戦線を下げて。 西はアリアンロッドまで。東は……
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ヒューベルト
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メリセウス要塞ですな。 あそこ以外に抗せる場所はないですから。
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エーデルガルト
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ええ、死神に守らせて。 時間稼ぎにはなるでしょう。
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エーデルガルト
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その間に、私は……
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ヒューベルト
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……言っておきますが、私は反対です。 戻れぬ危険がわずかでもあるのですよ。
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エーデルガルト
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私とて、時には手段を選ばない。 これが私の道なのよ……