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ディミトリ
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……エーデルガルト。
本当に応じてくれるとはな。
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ディミトリ
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……単刀直入に聞く。
君は、なぜこんな戦争を起こした。
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ディミトリ
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無駄な犠牲を生むような方法を取らずとも、
国家の在り方を変えることはできたはずだ。
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ディミトリ
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……わかるものか。現にこの戦いで、
数え切れぬほどの人が命を落としてきた。
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エーデルガルト
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変革に時間がかかるほど、今の歪んだ世に
産み落とされる犠牲者は増えていくわ。
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エーデルガルト
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戦争の犠牲者と、それとを天秤にかけて、
私は前者を生むことを選んだ。
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ディミトリ
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戦禍に喘ぐ民衆の顔を見てもなお、彼らに
未来のために命を投げ打てと強いるのか。
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ディミトリ
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弱い者の、持たざる者の悲鳴に耳を貸さず、
戦に血道を上げ続ける……
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ディミトリ
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そんなやり方では、結局、強者が弱者を
支配する構造を変えることはできない。
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エーデルガルト
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そんなことはない。その構造を、
私は破壊し尽くそうとしているのよ。
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エーデルガルト
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それでも弱者が変わらず弱者であろうと
いうのであれば、それは、ただの甘えだわ。
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ディミトリ
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……そうだな。君のような強い人間ならば
そんなことが言えるのかもしれない。
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ディミトリ
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だが、それを他者に強いるな。
人は、君が思うほど強い生き物じゃない。
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ディミトリ
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信仰に縋らねば生きられぬ者も……生きる
目的を失ったまま、歩き出せない者もいる。
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ディミトリ
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君のやり方では、彼らは決して救えない。
それは強い者のための、強い者のやり方だ。
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エーデルガルト
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信仰に縋ろうと、女神は応えてくれない。
目的を失ったまま、更に多くの者を失う。
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ディミトリ
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……君は、女神にでもなるつもりなのか。
心折れた者から、立ち上がる力も奪うのか。
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ディミトリ
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世界の在り方を変えるのは君主ではない。
この大地に生きる、ひとりひとりの人間だ。
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ディミトリ
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己の正義と理想とを、民草の一人にまで
押しつけるのは……それは、ただの独善だ。
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エーデルガルト
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独善でも、誰かが起たねばならないの。
この血塗られた歴史を終わらせるために。
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ディミトリ
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……君は、何一つ信じてはいないんだな。
手を取り合い、立ち上がる……人の力を。
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ディミトリ
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人は弱い生き物だ。だが、他者と助け合い、
支え合い、正道を選べる生き物でもある。
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ディミトリ
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……人はそういう生き方ができるのだと、
俺は、先生に……皆に、教えられた。
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エーデルガルト
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……貴方のような持つ者には、持たざる者の
気持ちがわからないのでしょうね。
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ディミトリ
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……そうだな、俺も同じ思いだ。
君の「正しさ」を……ようやく理解できた。
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ディミトリ
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……待て、エーデルガルト。
君に返さねばならないものがある。
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ディミトリ
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……君は君の望む未来を切り拓けばいい。
俺もそれに応えよう。……エル。
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ディミトリ
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エル、どんな苦しい時でも負けては駄目だ。
きみの望む未来を、切り拓くんだ。
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ディミトリ
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え? あ、いや、ごめん……
これしか、思いつかなくて……
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アランデル公
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エーデルガルト、何をしている。
時間だ、早く馬車に乗れ。
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ディミトリ
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あの時は悪かったな。もっと、
君の喜びそうなものを贈るべきだった。
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エーデルガルト
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ろくな返事もせずに去ってしまった。
そして、それきり会えなかった。
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エーデルガルト
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ファーガスの王よ。私は皇帝として、
貴方たちを帝都で待っている。