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ドロテア
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先生、こんなところにいたの?
みんな総出で捜していたわよー。
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ドロテア
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まあ、戦争も終わったんだし、少しくらい
先生を休ませてあげたらって思うけどねえ。
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ドロテア
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ふふふっ、
私はみんなに知らせたりしないわよ?
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ドロテア
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忙しい貴方/貴女の時間を独り占めできる、
貴重な機会なんだからね。
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ドロテア
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そんなことしなくても、私の求める人は
案外近くにいるかもしれないし。
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ドロテア
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ろくな男がいないし……私、気づいたの。
別に男でなくて女でもいいんだって。
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ドロテア
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うーん、この人だったらなと
思う相手はいるんだけどねえ。
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ドロテア
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勘違いだったら恥ずかしいから
確認していいかしら……。
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ドロテア
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本当に……?
何て、言葉にしたら、いいのかしら……
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ドロテア
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……ありがとう。
でも、私なんかで本当にいいの?
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ドロテア
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……ありがとう。
でも、私は女よ? 本当にいいの?
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ドロテア
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もう歌姫でもないし、親も財産も、
何もないのよ?
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ドロテア
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先生だったら、どんな相手だって
選べるじゃない、それなのに……
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ドロテア
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……これ以上は、貴方/貴女に失礼ね。
先生、喜んでお受けします。
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ドロテア
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いえ、夫婦となるなら、
もう先生とは呼べないわ。
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ドロテア
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私は歌劇団で、何度となく想い人の心を
射止める役どころを演じ、歌ったけれど……
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ドロテア
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それがこんなに幸せなことだなんて、
想像は及びもしなかった。
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ドロテア
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平和な世の中で、貴方/貴女のためだけに
歌って過ごす日々も……
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ドロテア
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想像もつかないくらい、
満ち足りたものになるといいわねえ。
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ドロテア
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どんなに美しい歌劇の一節よりも……
その一言を、貴方/貴女に伝えたい。