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クロード
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土は樹木を育み、樹木は果実を育む……。
我らはこの大地に生かされているのだ……。
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クロード
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ああ、フォドラよ……母なる大地よ……!
ついでに、美味なる酒も育みたまえ!
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クロード
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おわっ!? ……って。
何だ、ローレンツか。
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ローレンツ
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先ほどから耳障りなのだよ。
下手な詩を大声で吟じるのはやめたまえ。
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ローレンツ
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それに、韻も踏めないようでは、
それは詩ではない。ただの独り言だ。
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クロード
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おっとっと……手厳しいな。
お前が詩にうるさいとは知らなかったぜ。
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クロード
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案外、陰でこっそりローレンツ詩集でも
作ってたりしてなあ……くっくっく。
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ローレンツ
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そ、そもそも先ほどの詩は何なんだ。
地面を賛美していたようだが。
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ローレンツ
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フォドラの大地を慈しみ育んだのは主だ。
称えるべきは主の偉業ではないのか?
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クロード
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ほう、そこに引っかかるとは、やはりお前は
根っからのフォドラの貴族だなあ。
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クロード
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お前とは違うさ。俺に流れる貴族の血も、
俺という人間を変えることはできない。
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クロード
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……なあ、ローレンツ。
お前、盟主になりたがってたよな?
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クロード
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本当にやってみるか?
その気があるなら代わってやってもいいぞ。
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ローレンツ
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……!? 唐突に何を言い出すんだ。
軽々しく口にしていい話題ではあるまい。
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クロード
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冗談で言ってるわけじゃないさ。
前々から思ってたことだ。
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クロード
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最初、俺はお前を同盟という鹿に集る
狐のような野郎だと思ってたが、違った。
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クロード
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軽薄な厄介者どころか、ちゃんと鹿を躾け、
乗りこなそうとしてる……だろ?
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ローレンツ
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その自負はある。だが、盟主となれば
志のみでは務まらない。器が必要だ。
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ローレンツ
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……父の意向もあり、僕は君を怪しみ、
ずっと監視し続けてきた。
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ローレンツ
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だからこそわかる。
君は盟主に相応しい器を備えている。
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クロード
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うは、お前が俺を褒めるとは、鹿が2本脚で
立ち上がって歩き出すくらいの珍事だな。
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ローレンツ
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褒めているわけじゃない。同盟の将来のため
客観的な事実を述べているだけだ。
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クロード
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同盟の将来のため、か。
ほんと、揺らがない奴だなあ、お前は。
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ローレンツ
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この先の君の行い次第では、いつでも僕が
取って代わってやる。そこは覚悟しておけ。
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クロード
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ふん、望むところさ。それなら俺も
安心して、好きな時に消えられるしな。
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ローレンツ
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この戦いで死ぬ気じゃないだろうな?
早まるなよ、生きてこそ未来は変えられる。
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クロード
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あっははは、俺を褒めた上に、
俺の身まで案じてくれるのか?
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クロード
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俺は死なないよ、ローレンツ。
案外しぶといからな。それに……
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クロード
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この戦争はもう同盟のための戦争じゃない。
フォドラ全土の将来が懸かっている。
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クロード
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お前にフォドラ統一国家の王様まで
任せるなんてのは、酷な話だろ?
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ローレンツ
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フン……他に相応しい者がなければ
王でも皇帝でも引き受けるさ。
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クロード
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ほほう! いや、それでこそ、
名門グロスタール伯爵家のローレンツだ。
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クロード
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……生き残れよ、ローレンツ。
お前はこの先の時代に必要な男だ。
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ローレンツ
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君もな、クロード。
突然消え失せたりしないでくれたまえよ。
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ローレンツ
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……君のいない世界など、
きっと味気ないだろうからな。