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フレン
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どうなさったの、ディミトリさん。
こんな真夜中に。
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ディミトリ
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……! ああ……フレンか。
そちらこそ、こんな時間にどうした?
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フレン
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わたくし?
……少し、考え事をしていましたのよ。
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フレン
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まあ、あなたもでしたのね。
……あら?
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フレン
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お顔の色がすぐれないようですが、
どうかなさいまして?
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フレン
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ま! それは大変ですわね。
けれど、心配なさらないで。
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フレン
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わたくし、治癒の魔法は得意なんですのよ。
治して差し上げられるかもしれませんわ。
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ディミトリ
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……いや、いい。
気持ちはありがたいが、遠慮しておく。
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フレン
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なぜですの? どうしても嫌だと仰るなら、
理由を聞かせていただける?
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ディミトリ
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頭が痛むのは、父や仲間の死を
目の当たりにした、あの日からだ。
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ディミトリ
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……あの日を忘れるわけにはいかない。
彼らの死をなかったことにしてはならない。
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ディミトリ
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戒めなんだ。守れなかった人々を……
殺めてきた人々を、忘れないための。
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フレン
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まあ……そういうことでしたの。
けれど、あなたに共感はできかねますわね。
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フレン
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もしもわたくしが、亡くなられた
あなたのお父様やお友達だったら……
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フレン
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いっそ、あなたに忘れられてしまったほうが
いいと思うに違いありませんわ。
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フレン
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自分のために、大切な人が苦しむなんて、
わたくしは嫌ですもの。
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ディミトリ
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……そんなことは、
死者に聞いてみない限りわからない。
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フレン
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そうですわね。でも生前の彼らが、どう
考えたか、想像はできるんじゃなくって?
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フレン
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わたくしがあなたの記憶に残るとしたら、
幸せな思い出と一緒に残りたい。
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フレン
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思い出してつらくなるような思い出ではなく
思わず笑顔になるような思い出と一緒に。
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フレン
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こう考えるのは、わたくしだけ?
皆さん、そうなんじゃなくって?
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フレン
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……すみません。
ついつい、喋り過ぎてしまいましたわね。
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フレン
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わたくし、今日は退散いたします。
あまり夜更かしはなさらないでくださいね。