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フレン
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あら? こんな真夜中まで、
槍のお稽古をなさっていたの?
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ディミトリ
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お前こそ、こんな夜中にいったい……
また考え事か?
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フレン
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ねえディミトリさん、もし良かったら、
少し、お話に付き合ってくださいません?
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フレン
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ありがとうございます。
では、お隣に。
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フレン
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ディミトリさん……わたくし、
あなたに謝らなくてはと思っていたのです。
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フレン
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以前、夜の大聖堂でお会いした時、つい
偉そうなことを申し上げてしまって……。
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ディミトリ
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あの時のお前の言葉は、胸に響いた。
……思い切り殴られたような気がしたよ。
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ディミトリ
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……ああ、そうだ、フレン。俺のほうこそ、
お前に謝らねばならないことがある。
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ディミトリ
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以前、お前の作った食事を口にして
美味いと言ったことがあるだろう。
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ディミトリ
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本当は、何を食べてもほとんど味を
感じないんだ。……9年前から、ずっと。
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フレン
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やっぱり、そうでしたの……。
ずっとおかしいとは思ってましたのよ。
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ディミトリ
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……悪かったな。美味いとか何だとか、
いろいろと、適当なことを言って。
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フレン
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ま、謝る必要なんてございませんのに。
気を遣ってくださったのではなくて?
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フレン
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それはそうかもしれませんけれど……
わたくしは、嬉しかったんですのよ。
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フレン
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あ、そうですわ!
わたくし、良いことを思いつきましたわ。
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フレン
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例えば、とっても匂いの強いお料理なら、
あなたも何となく味がわかるのではなくて?
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フレン
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もしくは、
とっても辛いお料理なら……
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ディミトリ
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お前の料理は、好きだよ。
たとえ味がわからなくても、十分に美味い。
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フレン
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……ディミトリさんたら。
相変らずお上手なのですね。
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フレン
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けれど、いつかお料理の味が
わかるようになったら……
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フレン
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その時には、本心からの美味しい、を
聞かせていただきたいですわね。