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ハンネマン
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ふむ……気にしてはいないがね。
我輩の過去を調べたのだろう?
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ハンネマン
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……もう20年以上も前になるか。
君は、かろうじて生まれていたな。
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ハンネマン
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我が妹は心を病み、体を壊して、
若くして死んだ。
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ハンネマン
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誰かのせいにすることは容易い。
だが、我輩は紋章こそが元凶と考えた。
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エーデルガルト
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ハンネマン殿の父上には大紋章が宿り、
貴方にも、貴方の祖父にも小紋章が。
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エーデルガルト
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貴方の妹は紋章を継いでいなかったけれど、
紋章が生まれやすい家系として期待され……
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エーデルガルト
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没落しかかっていた、とある貴族に嫁いだ。
その貴族には焦りもあったのでしょう。
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エーデルガルト
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産めども産めども紋章を宿す子は産まれず、
責められ、虐められた貴方の妹は……。
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ハンネマン
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紋章学者として認められ始めていた
我輩は、絶望したよ。
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ハンネマン
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自分の研究に何の意味があるのだと。
妹一人救えずに、何が紋章学だ、と……!
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ハンネマン
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ああ。犠牲者は妹一人ではない。
そのようなことを繰り返す貴族が嫌だった。
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ハンネマン
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紋章の謎を解き、望む者なら誰もが
その力を宿せる世界がくれば……
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ハンネマン
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そう思って、研究に没頭したのだ。
残念ながらそれは果たされていないがね。
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エーデルガルト
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誰もが紋章の力を宿せる世界……それは、
誰もが紋章の力を持たぬ世界と同じですね。
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ハンネマン
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察するしかできないが、
君のその思想、そして2つの紋章の力。
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ハンネマン
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恐らく君は、我輩の妹と同じく、
この世界の犠牲……
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エーデルガルト
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私の過去は、すでに葬られたもの。
ただ前のみを見て、私たちは戦うのです。
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ハンネマン
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エーデルガルト君……承知したよ。
だが、これだけは言わせてほしい。
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ハンネマン
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君を見ていると、我輩は妹を思い出す。
それに、若かった頃の自分自身をも。
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ハンネマン
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かつては妹を救えなかった不肖の身だが、
今の我輩は違う。
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ハンネマン
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君を支え、君の力となれる。
我輩は、君のために戦うのだと。