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紋章学者
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……とぼけても無駄だ。 私はすべて知っているのだから。
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マリアンヌ
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な、何のことですか……。
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紋章学者
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いいから、こっちへ来い!
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ベレト enters the scene
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マリアンヌ
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せ、先生! 助けて!
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紋章学者
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……邪魔をするな。 おとなしくその娘をこちらに渡せ。
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断る
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紋章学者
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悪いことは言わん。 その娘に関われば命を落とすぞ。
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マリアンヌ
………………。
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紋章学者
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……エドマンド領の南方にある森に、 “彷徨えし獣”が出没すると知っているか?
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紋章学者
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夜な夜な人を襲っては、森の奥へと 引きずり込み、殺しているという。
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紋章学者
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その獣の正体が……そこにいる娘だ!
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マリアンヌ
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ち、違います! 私、そんなこと……
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もう帰ってくれ
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紋章学者
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フン…… いずれ尻尾を掴んでやるぞ……。
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紋章学者 leaves the scene
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ベレト, マリアンヌ enter the scene
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マリアンヌ
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すみません、ご迷惑を……。
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何があった?
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マリアンヌ
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……先生には、正直にお話しします。 あの男は、紋章学者です。
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マリアンヌ
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最初は父に付き纏っていました。 父が失踪してからは、私に……
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なぜ?
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マリアンヌ
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私が、父の宿していた紋章を…… モーリスの紋章を継いでいるからです。
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モーリスの紋章……?
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マリアンヌ
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またの名を、獣の紋章……。
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マリアンヌ
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かつてフォドラを救ったとされる英雄は、 12人いたとされています。
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マリアンヌ
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解放王ネメシス、フォドラの十傑、 そしてもう1人が……モーリスです。
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マリアンヌ
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モーリスはある日突然、恐ろしい獣に姿を 変え、罪のない人々を殺戮したといいます。
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マリアンヌ
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……ゴーティエ家のマイクランさんが 黒き獣となったのと同じかもしれません。
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マリアンヌ
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紋章石に秘められた負の力……それが、 モーリスを獣に変えてしまったのでしょう。
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マリアンヌ
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忌み嫌われる存在となったモーリスは、 十傑と並ぶ英雄の栄誉も抹消されました。
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マリアンヌ
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一族郎党も討伐され、モーリスの 呪われた血筋は絶えたかに思われた……。
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マリアンヌ
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ですが、モーリスの紋章を継ぐ血筋は、 今もいくつか存在しているのです。
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マリアンヌ
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私の家系も……その一つでした。
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マリアンヌ
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モーリスの紋章は災厄の象徴。世間では、 関われば不幸になると言われています。
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マリアンヌ
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紋章を宿す者は、夜な夜な獣と化して 人を殺す……とも。
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さっきの話……
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マリアンヌ
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はい、その噂の元となっているのが、 森を徘徊する“彷徨えし獣”です……。
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マリアンヌ
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伝承にある、獣と化したモーリスの姿と、 似た姿をしているとかで……。
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討伐すれば疑いも晴れるのでは?
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マリアンヌ
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それは、そうかもしれませんが…… 私の力では……
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マリアンヌ
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もしも、先生や仲間の皆さんが、 一緒に来てくれるなら……
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マリアンヌ
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ありがとうございます……! ですが、あの……
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マリアンヌ
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皆さんに、私の紋章のことは 言わないでおいてもらえますか?
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マリアンヌ
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すみません……。 では、よろしくお願いします……!
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マリアンヌ
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……私の個人的な事情ですので、 無理なようであれば仕方ありません。
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マリアンヌ
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でも、もし力を貸していただけるなら…… 私、待っていますので……。