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ヒューベルト
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随分と待ちましたよ、先生。
いったいどこで油を売っていたのですかな。
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ヒューベルト
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戦争は終わったとはいえ、戦後の処理、統治
制度、外交、獅子身中の虫と難題は山積み。
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ヒューベルト
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ならば1つくらいは、先に問題を
片づけておきたいと思って呼んだのですが。
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ヒューベルト
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くくく……つまらぬ前置きを長々と
用意しておいたつもりだったのですが……
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ヒューベルト
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いざ貴殿を目の前にすると、
露のように消えてしまいますな。
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ヒューベルト
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我が心はエーデルガルト様にあるのだと、
貴殿でなくとも思うでしょうから。
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ヒューベルト
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な……そのように素直に受けられると、
逆にこちらが戸惑ってしまいます。
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ヒューベルト
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実は……我が主にも言われたのです。
己の心のままに行動するように、と。
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ヒューベルト
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主としても、どこの馬の骨ともわからぬ者に
貴殿を取られてしまうくらいならば……
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ヒューベルト
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いっそ私と共にあってほしいという
考えだったのでしょう。
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ヒューベルト
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……私は、このような場に指輪の一つも
用意できぬような男です。
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ヒューベルト
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それに、甘い言葉を吐くような真似も、
まったく得意ではありません。
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ヒューベルト
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貴殿の身を守る自信はありますが、
良き夫となれるかと言うと……。
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ヒューベルト
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くく……。かつて貴殿を殺すことは
とても骨が折れそうだと言いましたが……
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ヒューベルト
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貴殿と素直に愛を語らうことのほうが、
私にとっては難題だったようです……。