link
シルヴァン
volume_up
……ああ、何だ、先生か。
はは、すみません、全然気づかなかった。
link
シルヴァン
volume_up
最近よく会いますねえ。
あ、もしかして、俺に気がある?
link
シルヴァン
volume_up
すいません、俺の腕の中は女の子専用で!
野郎に貸すのは勘弁願いたいんですが。
link
シルヴァン
volume_up
……なーんて、嘘です、冗談冗談。
露骨に嫌そうな顔しないでくださいよ。
link
シルヴァン
volume_up
あの子はその辺で引っ掛けたんですよ。
ちょっと楽しく遊んで別れようぜー、って。
link
シルヴァン
volume_up
そしたらあの子、意外と俺に
入れ込んでたみたいで、いやあ困った。
link
シルヴァン
volume_up
何言ってるんです、先生。
このくらいの遊びが、一番気楽でいい。
link
シルヴァン
volume_up
……ま、先生がどう思おうと、
態度を改めるつもりはないんですけどね。
link
シルヴァン
volume_up
ほら俺、こんなろくでなしでも
一応、紋章持ちの貴族なわけですし……
link
シルヴァン
volume_up
重たい遊びはしないようにしてるんです。
厄介事を呼び込んでくるだけですから。
link
シルヴァン
volume_up
いずれは、黙ってたって適当な相手と
結婚させられて、落ち着く予定ですしね。
link
シルヴァン
volume_up
……そう言えば先生は、自分が紋章を
持ってるって知らなかったんですよね?
link
シルヴァン
volume_up
……なるほど。ま、傭兵だったわけだし、
わざわざ調べるってこともないか。
link
シルヴァン
volume_up
貴族の家に生まれた子供は大抵、
紋章を宿しているかすぐに調べられますね。
link
シルヴァン
volume_up
俺たち十傑の末裔ってのは、基本的には
紋章を持ってないと家を継げないんですよ。
link
シルヴァン
volume_up
どうしても紋章持ちが産まれなければ
その代ばかりは諦めますけど……
link
シルヴァン
volume_up
基本的には紋章持ちが産まれるまで、
当主は子供を産ませ続ける。
link
シルヴァン
volume_up
で、そうして産まれた紋章持ちが、
次の当主になって同じことを繰り返す。
link
シルヴァン
volume_up
わかります? 平民の女の子たちにとって、
俺みたいなのは格好の獲物なんですよ。
link
シルヴァン
volume_up
そう言われてもなあ……貴族に成り上がる
いい足掛かり、とでも言えばいいんですか?
link
シルヴァン
volume_up
紋章を持った子供を産めれば、そいつが
次の当主になれるかもしれませんからね。
link
シルヴァン
volume_up
ま、血も薄まった今じゃ、産まれるのは
兄上みたいな奴ばかりでしょうけど……。
link
シルヴァン
volume_up
……昔から紋章持ちってのは、人から
妬まれると同時に、求められるもんです。
link
シルヴァン
volume_up
俺は俺の血の価値を、俺なりに理解してる。
……嫌になるほどに。
link
シルヴァン
volume_up
自由な生き方なんてとっくに諦めた。
妬まれるのにも求められるのにも慣れた。
link
シルヴァン
volume_up
俺たちには自由に生きる権利なんてない。
……そう思ってました。
link
シルヴァン
volume_up
傭兵として、紋章を持ちながら紋章と
無縁に生きてきたあんたを見てると……
link
シルヴァン
volume_up
……妬ましくて、憎らしくて、
殺してやりたいとさえ思いますけどね。
link
シルヴァン
volume_up
……なーんて。そういう陰のある男とか、
女の子に受けると思いませんか、先生!