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シルヴァン
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はあ……また振られちまった。
ここんとこ運がねえなあ。
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ドロテア
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あら、シルヴァンくん。
その顔は、また振られました?
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シルヴァン
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はははっ。
そりゃあ思ってても言わないお約束だろ。
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ドロテア
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ごめんねえ。貴方は振られても、
たいして気にしないと思ってたから。
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ドロテア
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ふふっ、落ち込むことがあるのねえ。
貴方が女の子関係で。
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シルヴァン
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そりゃ、毎回毎回落ち込むさ!
ま、振るほうが多い気もするけどな。
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シルヴァン
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いやあ、こう見えてもガキの時分から、
遊ぶ女の子には困らなかったもんで。
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シルヴァン
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……けど今考えてみりゃ、俺の何を見て
好きだーなんて言ってたんだろうなあ。
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シルヴァン
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俺のすべてを知ってるわけでもあるまいし。
……わかんねえもんだ。
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ドロテア
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あら、いきなり何の話?
すべてを知って、なんて無理でしょ?
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シルヴァン
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そりゃそうだけど……あ、前に聞いたよな。
俺がただの平民でも食事に誘うのかって。
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シルヴァン
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あの時は、試すような言い方して悪かった。
……つい疑っちまうんだよなあ、昔から。
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シルヴァン
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俺は貴族の家の、紋章持ちの男なわけだろ?
もう縁談も女も絶えない、絶えない。
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シルヴァン
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結局、欲しいのは俺じゃなく、俺の血だ。
家の外も、中も、みんなそうだった。
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シルヴァン
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……時々思うのさ。俺に紋章がなかったら、
俺は誰に見向きもされなかったかもってな。
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ドロテア
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そうねえ。
まあ事実なんじゃないかしら。
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ドロテア
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私も似たような思いを、
味わってきたから……。
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ドロテア
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歌姫として拍手喝采を浴びた私を
待ってたのは……
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ドロテア
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貴族からの山のような贈り物や、
求婚の申し込みだった。
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ドロテア
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でもそれは、私の正体を知らないから。
舞台の上の歌姫しか、みんな見ていないの。
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ドロテア
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私の容姿と歌と、名声だけに群がって……
誰も本当の私を見ようともしない。
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ドロテア
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ええ……立場の違いはあるけれど、
私たちは、同じ、なのかもね。
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シルヴァン
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なあ、ドロテアちゃん。
今なら俺、こう言えるぜ。
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シルヴァン
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たとえ君がしゃがれた声の老婆でも、
口説き倒して、必ず君を手に入れる……
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シルヴァン
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ま、今の君を口説いて、婆さんになるまで
一緒にいるのが一番いいけどな!
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ドロテア
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今の貴方に口説かれて、お爺さんになるまで
一緒にいるほうがいいわ。
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シルヴァン
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はは、嬉しいこと言ってくれるね。
それじゃ、まずはどこかで食事といこうか!