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フェルディナント enters the scene
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フェルディナント
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この酸味、コク、苦み……ふっ。 やはりテフは焙煎した翌日に限るな。
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フェルディナント
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この香気、キレ、渋み……ふっ。 やはり紅茶はこの産地に限るな。
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エーデルガルト enters the scene
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エーデルガルト
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フェルディナント、元気そうね。
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フェルディナント
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元気そうね、とはどういう意味かね。 私はいつだって元気だとも。
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フェルディナント
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もしや、決闘のことを気にしているのかい? であればまったく心配ないさ。
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エーデルガルト
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本当に? それなら良かったけれど……。
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フェルディナント
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なに、私とてあの時は落ち込んだよ!
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フェルディナント
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私が強敵と目し、時に上回っていると思って いた相手の足元にも及ばなかったのだから。
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フェルディナント
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だが、そこで折れるような者は 貴族たり得ない。
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フェルディナント
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力が足りなければ努力し続け、優秀な 存在になる……それこそが貴族なのだよ。
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エーデルガルト
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そう。確かに元気そうね。 貴方の弛まぬ努力も素晴らしいと思う。
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フェルディナント
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だろう? いつか私が貴方を超えた時には 今度こそ決闘で……
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エーデルガルト
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でも。 ずっと言いたかったことがあるの。
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エーデルガルト
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私は貴方が貴族であることに、 価値を感じないわ。
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エーデルガルト
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貴方が努力し続けることは、貴族とは 何も関係ない。貴方の優秀さも。
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エーデルガルト
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私が評価し、仲間であってほしいと 思うのは、ただのフェルディナントなのよ。
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フェルディナント
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……そうか。 私も言いたかったことがある。
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フェルディナント
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確かに、平民の中にも努力を続け、 優秀になる者がいることは認めよう。
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フェルディナント
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だが、生まれながらの貴族とは、 そんな生易しいものではないのだ。
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フェルディナント
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生まれた時から優秀であれと求められ、 その期待に応えられない者は家を出る。
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フェルディナント
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その環境こそが優秀な貴族を生み出し、 優秀な貴族がまた厳しい環境を作り出す。
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フェルディナント
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その循環なしに、優秀な者が継続して 世に出ることなどないのだよ。
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エーデルガルト
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……ふふ。貴方は、私の目指す世の形が 間違っていると言うわけね。
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フェルディナント
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間違っているとまでは言わないが、 より良い形があるのではないかね。
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フェルディナント
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貴方がどうしても貴族をなくすと言うなら、 それに代わるものを私は作る。
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フェルディナント
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例えば、多くの民に教育の機会を与え、 そこから徐々に上に立つ者を選ぶとか……。
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フェルディナント
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環境が、人を、作る。 私はそう信じるよ。
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エーデルガルト
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民に教育の機会を……。
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エーデルガルト
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……そんなことまで考えていたのね、 フェルディナント。
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エーデルガルト
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貴方みたいな人が、私の側には 必要なのかもしれない。
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エーデルガルト
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強い信念を持って、 私に真っ直ぐ異論を唱えられる人が。
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フェルディナント
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……! エーデルガルト。 ようやく私の必要性を理解したのだね!
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エーデルガルト
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ええと、元から貴方は仲間として 必要だと……
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フェルディナント
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こうなったら、貴方にこの一言を 送るしかあるまい!
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フェルディナント
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決闘に敗れた我が先祖ディルクが、 時の女帝に捧げたという一言を。
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フェルディナント
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ああ、麗しき我が君よ。 私を婿とし……
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エーデルガルト
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そこまで、そこまでよ、フェルディナント。 今はまだそういう話をすべきではないわ。