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イングリット
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……はあ。
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セテス
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どうしたのだ、イングリット。 何か思い悩んでいるようだが。
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イングリット
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あっ……セテス殿。 申し訳ありません、見苦しいところを……。
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セテス
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良かったら私に話してみないか。 力になれるかもしれん。
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イングリット
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い、いえ! わざわざセテス殿に 聞いていただくほどの悩みでは……。
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セテス
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遠慮なら無用だ。 もちろん、無理強いはしないが。
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イングリット
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で、では……。 ……実は、父のことなのですが。
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セテス
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君の父と言えば、ガラテア伯爵だな。 以前、何度かお会いしたことがある。
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イングリット
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……はい。では、ガラテア家の財政が 火の車だともご存知でしょうか。
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イングリット
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痩せた土地の多いファーガスの中でも、 我が領地は輪をかけて貧しいのです。
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イングリット
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不作続きで、一時期は徴税もままならず、 兵を養うのすら困難に……
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イングリット
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数代ぶりに紋章を持って生まれた私は、 家を建て直すべく期待されてきました。
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イングリット
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紋章を欲する貴族と姻戚関係を結び、 金銭的な援助を得られれば、と……
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セテス
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相手方からすれば、紋章を宿す血を、一族に 取り込む足掛かりになるということか。
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イングリット
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……はい。では、ガラテア家の財政が 火の車だともご存知でしょうか。
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イングリット
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痩せた土地の多いファーガスの中でも、 我が領地は輪をかけて貧しいのです。
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イングリット
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不作続きで、一時期は徴税もままならず、 兵を養うのすら困難に……
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イングリット
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数代ぶりに紋章を持って生まれた私は、 家を建て直すべく期待されてきました。
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イングリット
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紋章を欲する貴族と姻戚関係を結び、 金銭的な援助を得られれば、と……
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セテス
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相手方からすれば、紋章を宿す血を、一族に 取り込む足掛かりになるということか。
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イングリット
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……はい。 今は袂を分かちましたが。
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イングリット
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ガラテア家は貧しく、兵や軍馬を 養うのさえままならない有り様でした。
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イングリット
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父は、紋章を持つ私を大貴族と結婚させ、 財政援助を得ようとしていたのですが……
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セテス
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相手方からすれば、紋章を宿す血を、一族に 取り込む足掛かりになるということか。
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イングリット
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……はい。ですが私は、 出奔同然に家を出てきましたから……
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イングリット
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家族は今、どうなっているのかと……
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セテス
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やれやれ……紋章を持って生まれただけで いろいろと苦労させられてきたようだな。
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イングリット
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……えっ? セテス殿、今……何と仰ったのです?
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セテス
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私は個人的に、現在の紋章持ちをやたらと 尊重する時流は如何なものかと思っている。
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イングリット
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……そうなのですか? 主にお仕えするセテス殿が……意外です。
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セテス
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ああ。私の紋章への考えは いずれ折を見て君に話そう。
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セテス
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とにかく、君は紋章持ちである以前に、 一人の人間なのだ。
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セテス
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紋章に惑わされず、一人の人間として 成長してくれることを願っているよ。
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イングリット
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……はい。セテス殿、話を聞いてくださり、 ありがとうございました。
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セテス
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また話そう、イングリット。 私はいつでも、君を歓迎する。
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イングリット
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……はい!