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ローレンツ
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メルセデスさん、君はいつも危なっかしい。
戦場では、後ろに下がっていてくれたまえ。
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ローレンツ
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僕には貴族として、平民である君を
守ってやる責務があるからな。
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メルセデス
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う~ん、気持ちは嬉しいけれど、
そういうわけにはいかないわよ~。
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メルセデス
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というか、貴族だから、平民だからって
ローレンツは面倒くさい人なのねえ~……。
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ローレンツ
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面倒? 何を言っている。
僕は僕の責務を果たそうとしているだけだ。
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メルセデス
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あら? じゃあ貴族の責務がなかったら、
あの時も、私のことを見捨てたのかしら~?
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ローレンツ
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あの時? ……ああ、僕が君に
怪我を負わせてしまった時のことか。
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ローレンツ
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僕が平民なら、平民が平民に接するように、
普通に君を助けただろう。
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ローレンツ
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あくまで心掛けの問題だ。僕が平民なら、
君を素っ気なく帰したりは……いや、失敬。
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メルセデス
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なら、もしもあなたが平民だったら、
私を口説いてたってこと?
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メルセデス
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あなたを見ていると、いつもとっても
もどかしい気持ちになるのよ~。
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ローレンツ
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はて? 君にもどかしがられるような
振る舞いをした覚えはないが。
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メルセデス
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そうかしら~? 平民の女の子には
あえて深入りしないようにしてるでしょ?
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メルセデス
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内心仲良くなりたいと思ってるのに、
その気持ちに気づかないふりをしてる。
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メルセデス
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それって、とってももったいないな~って
私、ずっと思っていたのよ。
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ローレンツ
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言ったと思うが、僕はグロスタール家の
益にならぬ婚姻は望まないのだ。
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ローレンツ
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余計な恋愛感情などを抱いている暇など、
この僕にはないのだよ。
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メルセデス
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余計な恋愛感情だなんて……。
やっぱり、そういうのは変よ~。
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メルセデス
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じゃ、もしうっかり平民の女の子を
好きになったらどうするの~?
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ローレンツ
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……どうもしないさ。何もしない。
それが、僕が選んだ道だからな。
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メルセデス
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自分の気持ちに嘘をついても、
貴族の責務のほうが大事なの?
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メルセデス
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ふ~ん……そうなの。
何だかそれって、少し悲しいわね~……。
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ローレンツ
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悲しい? 勘違いしないでくれ。
僕は君に哀れまれる筋合いなど……!
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メルセデス
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そうね、ちょっとからかいすぎちゃった。
ごめんなさい、それじゃあ、またね~。