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ローレンツ
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メルセデスさん、聞けば君は 帝国貴族の生まれだそうだね?
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メルセデス
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ええ、そうだけど。
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ローレンツ
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しかも君は紋章の力を宿している…… そうだったね?
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メルセデス
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ええ、そのとおりだけれど、 それがどうかしたの~?
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ローレンツ
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なぜ、それを教えてくれなかったのだ。 僕は君が平民だと思って接していたのに。
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メルセデス
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あら、隠しているつもりはなかったわ~。 それに、今の私は平民だもの。
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メルセデス
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貴族だった過去も、紋章のことも、 私にはどうだっていい話だわ~。
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メルセデス
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……貴族に戻りたいなんて少しも思わない。 私はこれからも平民のままでいいの~。
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ローレンツ
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待て。 それはつまり……
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ローレンツ
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例えば将来、貴族の男子から 結婚を申し込まれても、断るということか?
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メルセデス
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え? そんなことはないわよ~。 それは、それだもの。
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メルセデス
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今は、誰かと結婚したいとは 思っていないけれど……
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メルセデス
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もし誰かを好きになったとしたら、 私は相手の身分は特に気にしないわ~。
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ローレンツ
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そうか! それを聞いて安心し……失敬。 ふむ、なるほどな。君の柔軟性が羨ましい。
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ローレンツ
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ところで、君に影響されたわけじゃないが、 僕も少し柔軟に考えようと思っているんだ。
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メルセデス
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え? それは、恋愛とか結婚とかの話?
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ローレンツ
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そうとも。平民だからという理由のみで 恋愛対象から外すのはやめようと思ってね。
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メルセデス
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でも、貴族の女の子じゃないと、 責務が果たせないんじゃなかったの~?
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ローレンツ
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僕はグロスタール家の益とならぬ婚姻は 望まない、と言ったはずだ。
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ローレンツ
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つまり、家の益となるならば、 相手が平民であれ婚姻の対象となり得る。
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ローレンツ
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例えば、元は貴族であるとか、 紋章を持っているだとか……
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メルセデス
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あらあら…… 全然、柔軟になってないわね~。
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メルセデス
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家にとって益となるかどうかなんて、 いつ、どうやってわかるの?
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メルセデス
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好きになる前に、相手の素性を調べるの? そんなのおかしいわよ~。
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ローレンツ
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う……僕はただ……君を……。
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メルセデス
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ふふ、ごめんなさい、からかっただけ。 本当にあなたって、恋愛に不自由な人ねえ。
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メルセデス
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でも、そういう不器用なところが、 あなたの魅力なのかもしれないわね。
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ローレンツ
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? 今、なんと?
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メルセデス
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何でもないわ~。これからも、 頑張って貴族の責務を果たしてちょうだい。
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ローレンツ
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もっ、もちろんだとも!