黒風の塔

英雄の遺産を盗まれるなんて、 前代未聞の事件ね。

くくくく……つい前節にも、 “天帝の剣”が盗まれかけましたが。

あれもあれで前代未聞だったでしょう。 まったく……。

しかし、我々の王国入りを許すとは、 ゴーティエ家は相当慌てていますな。

まあ、王国の出である騎士団の猛者が、 監視としてついてくるようですがね。

そう言えば今節の課題には、セイロス騎士の ギルベルト殿が同行してくださるそうだな。

あの方の腕前は本物だ、安心できる。 ……しかし、レア様も人が悪いな。

ゴーティエと言えば、シルヴァンの実家だ。 ……あいつのことも気にかけてやってくれ。

すまないな。ロナート卿の時に続いて、 また王国内の騒動に……。

……先生、英雄の遺産は強力だ。 どうか……くれぐれも、気をつけて。

やれやれ……同盟の円卓会議に出るのは、 初めてじゃなかったんだが、疲れたよ。

協調性ってもんが足りないんだよなあ。 ローレンツの親父あたりは、特にね。

あ、うちの祖父さんは案外、元気だったよ。 あの様子なら、あと５年は大丈夫だな。

先生、“天帝の剣”を使えたんだってな？ それってつまり、どういうことなんだ？

まさかあんた、“解放王”ネメシスの 子孫っていうんじゃないだろうな……？

聖廟にあるセイロスの棺の中には、 セイロスの遺体が安置されていたはずだ。

しかし、そこにはただ“天帝の剣”が あった……。これは何を意味するのだ？

しかし、そこにはただ“天帝の剣”が あったという。これは何を意味するのだ？

聖廟で剣だ何だ振り回すなんて、 今までで一番心臓が縮んだ経験でしたよ。

聖人たちの棺に傷がついてないと いいなあ……。

ああ……魔法も使ってませんでしたっけ。 １年後まで入れないなんて拷問ですよ……。

先生たち、聖廟で戦ったんですか？ 聖遺物を傷つけてないでしょうね……。

ああ、でも僕もその場にいたかったなあ。 聖廟には朝一で行って……

昼には「居過ぎだ」って教団の人に 追い出されちゃったんですよねえ……。

遺産が盗まれたって言ったって、 親子喧嘩みてえなもんなんだろ？

一方だけを殴るってのは、 オレはちょっとやだなあ。

でも、そうは問屋が卸さねえのは わかってるぜ。はあ……。

うおおお！ オレだって、先生に負けない力をつけるぜ！

ぴぇっ！？　先生？　べ、別にこっそり お菓子なんて食べてないですからね！

先生も紋章、持ってたんですねえ。 実はご先祖様は貴族ですか？

先生みたいな貴族臭くない貴族だったら、 大歓迎なのになあ。

でも傭兵で教師なんですよね。 ……ふふっ。不思議な人。

わたし、王国の北部、行く、初めてです。 帝国の人、北部、寒い、寂しい、言います。

先生、王国でも、傭兵、していた、 聞きました。どう、ですか？

……忘れる、でした？ そのようなこと、ある、仰天、です。

王国の北部、行く、経験、ありません。 帝国の人、北部、寒い、寂しい、言います。

先生、王国でも、傭兵、していた、 聞きました。どう、ですか？

……忘れる、でした？ そのようなこと、ある、仰天、です。

王国の北部、行く、経験、ありません。 帝国の人、北部、寒い、寂しい、言います。

先生、王国でも、傭兵、していた、 聞きました。どう、ですか？

……忘れる、でした？ そのようなこと、ある、仰天、です。

……ロドリグ殿とは、おれも面識がある。

……先王の亡き後、何度となく 王都を訪れ、殿下を見舞ってくれた。

西方教会と中央教会…… 同じ女神を信じながら、対立する、か。

……フォドラの人間も、難儀なものだな。

……お前、俺によく似た男を見たか？ 中年の……それなりに、背の高い男だ。

……この後、もしも奴を見かけたら 俺は遠出していると伝えろ、いいな。

古の王ネメシスの“天帝の剣”。 それを振るうとは……ふ、やはり面白い。

１日も早くそれを使いこなしてみせろ。 お前と斬り合いたくてたまらん……！

……この後、もしも奴を見かけたら 俺は遠出していると伝えろ、いいな。

古の王ネメシスの“天帝の剣”。 それを振るうとは……ふ、やはり面白い。

１日も早くそれを使いこなしてみせろ。 お前と斬り合いたくてたまらん……！

修道院の襲撃計画は、すべて…… 西方教会の仕業だったってことですよね。

つまり、西方教会は、 ロナート様を利用していた……。

西方教会はどんな正義があって、 あの方を巻き込むようなことを……！

……そう言えば、近く西方教会の 大規模な査問が執り行われるらしいです。

できることなら……僕も、帯同したい。

僕は、知りたいんです。なぜロナート様が 死ななければいけなかったのかを……。

修道院の襲撃計画は、すべて…… 西方教会の仕業だったってことですよね。

つまり、西方教会は、 ロナート様を利用していた……。

西方教会はどんな正義があって、 あの方を巻き込むようなことを……！

あっはは……ほんとすいませんね、先生。 うちの馬鹿兄貴が迷惑かけて。

常々とんだ屑野郎だと思ってましたけど…… まさか、遺産まで盗み出しちまうとはなあ。

討伐部隊の中に俺がいるのを見たら、 兄上、どんな顔するんでしょうかねえ……。

実はゴーティエ家ってのは俺の実家でして。 ……で、賊の頭目ってのは俺の兄貴。

その……頼みます、先生。あんな野郎でも、 俺には……血を分けた、家族なんだ。

実はゴーティエ家ってのは俺の実家でして。 ……で、賊の頭目ってのは俺の兄貴。

その……頼みます、先生。あんな野郎でも、 俺には……血を分けた、家族なんだ。

う～ん、不思議よね～。セイロス様の棺に、 遺体ではなく、剣が入っていたなんて～。

セイロス様は“天帝の剣”を残して、 どこへ行ってしまわれたのかしら～？

う～ん、不思議よね～。セイロス様の棺に、 遺体ではなく、剣が入っていたなんて～。

セイロス様は“天帝の剣”を残して、 どこへ行ってしまわれたのかしら～？

“天帝の剣”を使う先生、 とってもかっこよかったわ～。

でも、不思議よね～。剣の持ち主だった ネメシスに、子孫はいないはずなのに～。

……あ、先生っ！　前にあたしが捜してた 暗い顔のおじさん、見かけませんでしたか？

さっき、食堂の近くで見かけたんです！ けど、逃げられちゃって……！

父さん……やっと見つけた……！

……あ、先生っ！　前にあたしが捜してた 暗い顔のおじさん、見かけませんでしたか？

さっき、食堂の近くで見かけたんです！ けど、逃げられちゃって……！

父さん……やっと見つけた……！

あ、先生、王国に行くなら、この時期でも 上着を持っていったほうがいいですよ。

それに、この時期は雨も多いし…… 濡れたら、絶対に風邪引いちゃいます！

まさかロドリグ殿とお会いできるとは、 思ってもみませんでした。

折角、家族と会える機会だというのに、 まったく、フェリクスは何を……。

……先生。シルヴァンのこと、 しばらくは放っておいてあげてください。

遺産を盗み出した賊の頭目は…… 廃嫡されたとはいえ、彼の兄なのですから。

クロードは自領に戻ったようだな。 しかし、あいつと一緒にいた女性は……。

僕の記憶が確かなら、ダフネル家の……？ だとすれば、あの威風も頷ける。

次の課題は、またも賊討伐だそうだな。 しかも頭目は貴族の子息だと聞いたぞ。

まったく……貴族の風上にも置けん輩だな。

王国貴族のゴーティエ家の者が 何やら騒動を起こしていると聞いたが。

まったく……貴族の風上にも置けん輩だな。

次の課題は、またも賊討伐だそうだな。 しかも頭目は貴族の子息だと聞いたぞ。

まったく……貴族の風上にも置けん輩だな。

王国貴族のゴーティエ家の者が 何やら騒動を起こしていると聞いたが。

まったく……貴族の風上にも置けん輩だな。

なあ、先生。紋章だの英雄の遺産だので、 ちょっと騒ぎすぎじゃねえかなあ。

それって、そんなに大事なことなのか？

オデは、紋章なんかあってもなくても、 どっちでもいいと思ってるけどなあ。

紋章よりも筋肉！　遺産よりも筋肉！ ３度の飯より筋肉！　いや、そこは飯か？

ハンネマン先生、ちょっと様子が おかしくありませんでしたか……？

何か、大発見でもあったんでしょうか……。

レア様から“天帝の剣”を託されたって、 本当なんですか？

そもそも使えるのが、おかしいし…… 先生って、何者なんですか。

紋章に人生を振り回されるなんて、 愚かですよね、貴族というものは。

……まあ、わたしもその一人ですけど。

望む紋章を持てず、 不幸になる人がいる……。

望まぬ紋章を持たされて、 不幸になる人も……。

学校生活って、もっと平和で穏やかで、 甘酸っぱいものだと思ってたんですけどー。

なんか最近、不穏じゃないですかー？ もしかして先生が来たからだったりしてー。

なあ、師匠が珍しく眉間に皺を寄せてた みたいなんだが、どうしたんだ？

何か悩みがあるなら、 力になってあげたいんだけどな……。

ん？　先生、師匠を捜してるのか？ さっきまで騎士の間で誰かと話してたよ。

相手はよく見えなかったけど、 たぶん女性の騎士だったと思うな。

なあ、師匠が珍しく眉間に皺を寄せてた みたいなんだが、どうしたんだ？

何か悩みがあるなら、 力になってあげたいんだけどな……。

天帝の剣の管理に問題はないだろうな？ どこかに置き忘れるなどもってのほかだぞ。

ああ、ベレト。 ジェラルトさんが君を捜していたようだぞ。

騎士団長の部屋の近くで会ったのだが…… もうどこかへ行ってしまったかもしれんな。

もし部屋にいないようなら、 誰かに聞いてみてくれ。

なんだ、戻ってきたのか。 墓地の場所？　もちろん知っているが。

少し入り組んだ場所にあってな。 行きたいのなら教えるが？

ああ、ベレト。 ジェラルトさんが君を捜していたようだぞ。

天帝の剣の管理に問題はないだろうな？ どこかに置き忘れるなどもってのほかだぞ。

天帝の剣の管理に問題はないだろうな？ どこかに置き忘れるなどもってのほかだぞ。

あのお魚さんは、なぜああやって じっと待っているのでしょうか。

釣り上げられて、食べられてしまう、 自分の運命を悟っているのかも……。

あ、先生。 随分と生徒たちと仲良くなりましたのね。

わたくしもその中に入りたかったですわ。 お兄様さえ許してくだされば……。

炎の紋章……ふふふふ…… ……ふふふ……炎の紋章……

いかんいかん。 我輩としたことが我を失っていた。

西方教会の不祥事もある。 浮かれてばかりはいられんのだがな……。

再誕の儀は大変だったわねえ。 医務室も大混雑よ。

ようやく落ち着いてきたから…… ここで気分転換しているの。

生徒たちが命を落とさないように あたくしも必死で治療はするけれど……

死の危険を感じる目に遭った子は、 戦いを恐れてしまうようになる。

そんなことにならないよう、 気をつけてあげてね、センセ。

初めまして、先生。 課題に同行するギルベルトと申します。

どれほど力になれるかはわかりませんが、 精一杯、協力させていただきます。

前節は、お手柄だったな。

しかし女神の塔を襲撃すると同時に、 聖廟にまで入り込むとは……

西方教会だけでやれるとは思えない。 協力した者がいるはずさ。

それに、逃げたっていう仮面の騎士…… アンタの話じゃ凄腕なんだろ？

いつか見つけ出して、アタシの手で 殺してやりたいね。

ジェラルトさんか？ 誰かの墓参りに行くと言ってたよ。

大修道院に併設されてる墓地があるんだ。 そこに行ったんじゃないかな。

墓地の場所？　えーと……どこだったっけ。 セテスにでも聞けばわかると思うが。

前節は、お手柄だったな。

しかし女神の塔を襲撃すると同時に、 聖廟にまで入り込むとは……

西方教会だけでやれるとは思えない。 協力した者がいるはずさ。

それに、逃げたっていう仮面の騎士…… アンタの話じゃ凄腕なんだろ？

いつか見つけ出して、アタシの手で 殺してやりたいね。

前節は、お手柄だったな。

しかし女神の塔を襲撃すると同時に、 聖廟にまで入り込むとは……

西方教会だけでやれるとは思えない。 協力した者がいるはずさ。

それに、逃げたっていう仮面の騎士…… アンタの話じゃ凄腕なんだろ？

いつか見つけ出して、アタシの手で 殺してやりたいね。

アナタの活躍、聞きました。

ボクはレアさまのことばかりで…… 他には何も考えられなかったのに。

実はすごい人だったんですね、先生。

お前に“炎の紋章”が……？ だとすると、あいつは……。

いや、そんなはずはねえ。

……おかしい。 何かがおかしいが、わからんことだらけだ。

おう。お前も誘うつもりで捜してたんだが、 見つからねえから先に来てたんだ。

たまにはあいつの……お前の母さんの、 墓参りでもしようと思ってな。

このちっぽけな墓の下に、 お前の母さんが眠ってるのさ。

あいつは、お前を心から愛していた。 それだけは覚えといてくれ。

……この指輪は、あいつの唯一の形見だ。 そのうち、お前に譲ってやるさ。

いつかお前にも大切な人ができたら、 この指輪を贈ってやるといい。

あいつは、お前を心から愛していた。 それだけは覚えといてくれ。

あいつは、お前を心から愛していた。 それだけは覚えといてくれ。

……あなたは、自分に秘められた力に 戸惑っているかもしれませんね。

ですが、私は信じているのです。 あなたが、その力を正しく行使し……

主より授かった尊い使命を、 いつか必ず果たしてくれると……。

石……石か……。 わからぬな……。

じゃが、そのことを思うと、 わしの胸の鼓動が早くなる……。

いや、わしのではなく、 おぬしのか……？

………………。

メルセデス……、メルセデスか。

懐かしい顔だ……。

ああ先生、うちの倅を見ませんでしたかな。 いろいろと用がありましてね。

あれには、先生や殿下に迷惑をかけぬよう 言って聞かせねばなりませんので。

私はロドリグ＝アシル＝フラルダリウス。 ファーガスで領主を務めておりましてね。

多忙のゴーティエ辺境伯に代わり、 遺産の奪還を依頼しに来たんですが……

聞けば、生徒が駆り出されるとか。 ……何事もなければいいんですがね。

西方教会の長は司教の地位にあります。

大司教であるレア様ほどではありませんが、 それでもかなりの権威を持っています。

そのような者が暗殺を企むなど、 唆されたとしか思えませんな。

司教は東方教会にもいらっしゃるが、 正直なところ存在感はありません。

大司教とレスター諸侯同盟、双方の影響下に ありますから発言権も弱いのでしょうな。

先生、お疲れ様です！ 本日も異常なしであります！

あ、前節は異常あり、でしたね。 先生のご活躍で事なきを得たとか。

賊の侵入に気づかないとは…… 不甲斐ない門番で申し訳ありません……！

ここで手に入らない品でも、 地下では手に入れられるかもしれませんな。

……ガルグ＝マクの地下をご存じない？ あそこは、地上にいられぬ者の楽園ですぞ。

アビスの連中め……日頃から 問題ばかり起こしおって。

いっそガルグ＝マクの地下を丸ごと 掃討してしまうほうがいいのかもな……。

むっ……先ほどすれ違ったのは、 まさか、あのフラルダリウス公では？

フラルダリウス家はファーガスの建国にも 関わった、歴史の長い家であり……

現当主のロドリグ殿は“ファーガスの盾”と 讃えらえれる、立派な武人なのだよ。

十数年前、スレン北征の際には、国王の 右腕として素晴らしい武勲を立てたという。

むっ、そう言えば、今年の生徒の中にも、 フラルダリウス家の者がいたような……？

前に、セイロス騎士のギルベルトさんと 打ち合う機会があったんですけど……

いやもう、全然歯が立たなくって！ あの人が課題に同行するなら、安心ですね。

ところであの人、誰かに似ているような 気が……いや、流石に気のせいかな……？

レア様の暗殺未遂、英雄の遺産の盗難、 物騒な話ばかりで嫌になりますね。

ああ、そう言えば、ガルグ＝マクの街にも 恐ろしい噂が流れているそうですよ。

なんでも、巨大な鎌を持った死神が、 若い娘をさらっていく、とか……。

あんたたちはあんたたちで大変そうだが、 俺らも俺らで大変なんだよ。

前節の件を受け、騎士団の大部分は 西方教会の本部に出向いちまったし……

俺たちはこれから、レスターの東部にある 東方教会の本部に向かわなきゃならない。

同盟領に行くなら、あんな山の中でなく、 デアドラまで観光に行きたかったね。

知ってるか、リーガン家の領都デアドラ。 “水の都”なんて言われてるんだぜ。

レスター諸侯同盟は、同盟の五大諸侯による 円卓会議によって運営されているんですよ。

盟主たるリーガン公をはじめ、ゴネリル公、 グロスタール伯、コーデリア伯……

そこに後から加わったエドマンド辺境伯を 加えた五大諸侯が議決権を持っています。

以前はエドマンド家ではなく、ダフネル家が 五大諸侯の一席に数えられていましたが……

当時の当主が、新参のエドマンド家に 議決権を譲ったんだそうですよ。

マイクランって名はちょくちょく聞くぜ。 ファーガスの北のほうでは結構な有名人だ。

ゴーティエ辺境伯領の村を次々と襲っては、 食い物や女を奪って好き勝手……

俺も同じく、ならず者を率いる身だが ああいう手合いとは一緒にされたくないね。

英雄の遺産ってのは、それを持っただけで 素人が一流の戦士になれるような代物だ。

遺産を持ってるのはあんたも同じだが、 用心するに越したことはないと思うぜ。

……あんたが誰かは知ったことじゃねえが、 厄介事に巻き込まれる前に立ち去るこった。

それとも、誰かの指図でアビスへ来たのか？ それなら相応のもてなしをするつもりだが。

……いや待て、あんた。もしかして教師か？ 近頃大修道院に来たっていう、元傭兵の。

ふうん、あんたが噂のね…… ……まあ、そういうことならいいか。

俺はユーリス。これからも ここへ来るつもりなら、覚えておきな。

あっちに行ったりこっちに行ったり、 教師ってのは大変だなあ、まったく。

おれが生徒だった頃は、鷲獅子戦くらいしか 遠くに行くことはなかったぜ。

懐かしいねえ。おれの年は…… おれが無茶やったせいで負けたんだったな。

今年のは、おれもまた参加できるのか？ 教団に確認しといてくれよ。

あん？　見ねえ面だな。 お前、ここの住人じゃねえだろう。

教師？　ああ、噂の新任教師か！ ……って、おれより絶対若えだろ、お前。

おれはバルタザール。 同盟領の出身だ。よろしくな。

あら、貴方……どなた？ アビスに似つかわしくない風貌ですわね。

もしや地上から降りてきましたの？ いったい何が目的というのでしょう。

……思い出しましたわ。貴方、レア様に 大抜擢されたという新任の教師ですわよね？

地下でも噂になっておりましたのよ。 私はコンスタンツェ＝フォン＝ヌーヴェル！

以後、お見知りおきなさって？ おーっほっほっほっほっほ！

次は王国の賊退治とお聞きしました。 違和感を禁じ得ないのは私だけでしょうか。

英雄の遺産が絡んでいるとはいえ、 小規模の盗賊団がお相手とのこと……

領主のゴーティエ辺境伯やファーガス王家が 対処されるのが筋と考えてしまいますわ。

いえ、すべては私の短慮ゆえでしょうね。 不穏な想像をしてしまうのも愚かさゆえ。

ファーガスの力が弱まれば、３勢力の均衡が 崩れて動乱が起こるのでは、などと……。

先生、すごい剣もらえたのは いーと思うんだけどさ……

教団に便利に使われてたりしない？ 大丈夫？

ちゃんと自分で考えて行動しよーよ。 勝手に教団の一部にされてもヤじゃないの？

……キミが何者か当ててあげよっか。

上の学校に新しく入った先生でしょ。 ハピ、知ってるし。

ここでもちょっと噂になってたんだよね。

ふーん……こーいう顔してたんだ。 わりとフツーじゃん。

あら、先生。 最近どう？　儲かってるかしら？

ゆっくりお話したいところだけど、 こう見えて仕事中なの。ごめんなさいね。

近頃、先生の噂でもちきりよ。 なんだかすごい剣を使ったんですって？

その剣、もし売る気があるなら私に… なんて冗談よ。売っちゃ駄目なんでしょ？

あら、先生。 最近どう？　儲かってるかしら？

ゆっくりお話したいところだけど、 こう見えて仕事中なの。ごめんなさいね。

あっちもこっちも物騒で、 行商仲間も困ってるみたい。

早くみんなが笑顔で商売できる時代に なるといいんだけどね。

……アビス？ 先生、そんな場所に興味があるの？

ガルグ＝マクの地下に広がる古代の遺構…… それがアビスよ。

勝手に住み着いてる人たちもいるけれど、 お察しのとおり訳アリな人ばっかり。

真っ当な商人なら、まず近寄らないわね。 先生も足を突っ込まないほうがいいわよ。

あんた、地上の人間でしょ。 こんな場所に何の用です？

……あ、もしかして新入りの先生ですか。 じゃあ入ってもいいですよ。

ここは地下の街“アビス”です。 柄の悪いのが多いので、お気をつけて。

先生、お疲れさんです。 見てのとおり、本日も異常ありですよ。

前節は地上も異常ありだったんですよね？ そのせいで、まだいるんですよ、この人。

セテス様のご指示だ。 念のため、今節もここを見張るようにと。

まあ、俺は慣れちまいましたけど。 ユーリスは通るたびに睨んでいきますよ。

少し前までは、アルファルドさんって 教団のお偉いさんがアビスを守って……

俺たちの居場所を 作ってくれてたんだけどよ。

不祥事があったとかでいなくなっちまって、 荒れるし教団の締めつけも厳しいし……。

今のアビスで一番、喧嘩が強いのは バルタザールだろうさ。

一番、知恵が回んのはユーリスで、 一番、魔道に長けてんのはコンスタンツェ。

一番、危険なのは……ハピだろうな。 ん？　あいつの噂、知らねえのか？

……！　君は、ジェラルト殿の……。 そうか……母君に、よく似ていますね。

ですが……故あって私は、この大修道院を 離れなければならなくなりました。

さしあたって一つ、君に頼みがあるのです。

彼女の墓前に供える花を、 摘んできてはもらえませんか？

他でもない君が摘んできた花ならば、 きっと、彼女も喜ぶことでしょうから。

ありがとうございます。ああ…… この花は、彼女が生前好きだった花です。

……これで、思い残すことはもうない。

さて、私はそろそろ行きましょう。 ベレト先生、どうか息災で。

彼女の分まで、ジェラルト殿のことを 大切にしてあげてくださいね。