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王国兵
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……おかしな方だよなあ。
ダスカー人なんて側に置くか、普通。
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王国兵
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どうせ汚い手でも使って取り入ったんだろ。
ダスカー人どものやり口だ。
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ディミトリ
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ほう、随分愉快な話をしているな。
俺も交ぜてくれるか。……で、その続きは?
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王国兵
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……え、ああ、殿下。
いや、何でも……ははは……。
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王国兵
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は、はは……
す……すみませんでした……。
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ディミトリ
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どいつもこいつも、馬鹿馬鹿しいな。
……だがこれがファーガスの現状、か。
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ドゥドゥー
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事実、おかしなことなのです。
おれを側に置いておくというのは。
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ディミトリ
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従者の地位を手に入れるために
汚い手を使ったと罵られるのは、嫌か。
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ドゥドゥー
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それは……嫌です。おれはともかく、
殿下の名誉が傷つけられるのは……
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ディミトリ
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今、俺のことは聞いていない。
それはどうでもいい話だ。
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ドゥドゥー
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殿下、なぜ……なぜそうまでして、
おれを守ろうとなさるのです。
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ディミトリ
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父上が殺されたあの日、ダスカーで俺が見た
襲撃者は、ダスカー人などではなかった。
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ディミトリ
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俺はそれを見ていながら、知っていながら、
その後の虐殺を阻止することも……
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ディミトリ
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お前たちに着せられた王殺しの汚名を、
拭ってやることもできなかった……!
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ディミトリ
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俺はお前に……俺が死なせてしまった
すべての者の無念に、報いねばならない。
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ドゥドゥー
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……おれは、確かにファーガスが憎い。
ですが、殿下だけは別です。
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ドゥドゥー
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あの地獄に救いの手を伸べてくれたのは
殿下だけでしたから。
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ドゥドゥー
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あなたが身を呈してまで、顔も知らぬはずの
おれを救ってくださった瞬間に……
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ドゥドゥー
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この方のために生きようと、
そう心に決めたのです。
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ドゥドゥー
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殿下、あなたのためならば、
おれは命さえも惜しくなどありません。
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ドゥドゥー
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そして……だからこそ
おれはあなたの友人にはなれないのです。
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ドゥドゥー
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王国にはいまだダスカー人を恨む者も多い。
そんなおれを友人として側に置けば……
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ディミトリ
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俺が、その程度の雑言を
気にかけるとでも思っているのか。
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ディミトリ
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……お前の言いたいことは、よくわかった。
寂しいものだな。
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ディミトリ
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俺はこれからもお前の主君であり、
お前はこれからも俺の従者だ。
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ディミトリ
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それ以上でも以下でもない。
……お前はそう言いたいんだな。