link
ドゥドゥー
volume_up
痛むようなことがあってはなりません。
薬を手配しなければ……
link
ディミトリ
volume_up
いや、いい。深かったとはいえ
９年も前の傷だ、もう痛むこともない。
link
ディミトリ
volume_up
それに、お前を庇って負った傷を、
消してしまうのも勿体ないからな。
link
ディミトリ
volume_up
あの傷は誇りだ。……俺のような者にも
生き延びた価値があったのだと思える。
link
ディミトリ
volume_up
ドゥドゥー、お前は俺に救われたと言うが、
あの日、俺もお前に救われたんだ。
link
ディミトリ
volume_up
……誰も救えず、俺だけが生き延びて。
生きている価値も理由もないと思っていた。
link
ディミトリ
volume_up
だが、俺はたった一人……お前を救えた。
それだけがずっと、俺の支えだった。
link
ドゥドゥー
volume_up
あの日……剣を手にした兵士を前にして、
おれはここで死ぬのだと覚悟していました。
link
ドゥドゥー
volume_up
ですから、突然現れたあなたが
おれを庇ってくださった時には……
link
ドゥドゥー
volume_up
……地獄の底にも救世主は現れるのだと、
心の底からそう思ったのです。
link
ドゥドゥー
volume_up
そんなあなたに、おれは何も返せていない。
まだ恩を返しきれていない……！
link
ディミトリ
volume_up
……馬鹿、今更何を言っている。
お前にはいろいろと助けられてきただろう。
link
ディミトリ
volume_up
５年前、牢の中で斬首を待つだけだった俺を
救い出してくれたのは、他でもないお前だ。
link
ドゥドゥー
volume_up
それは……臣下として、
当然のことをしただけです。
link
ディミトリ
volume_up
なあ、ドゥドゥー……お前にとって、
俺は特別な存在なのかもしれない。
link
ディミトリ
volume_up
だが、それは俺からしても同じことだ。
お前は俺のかけがえのない、大切な……
link
ディミトリ
volume_up
……だから友人にはなれないなどと、
悲しいことを言わないでくれ、ドゥドゥー。
link
ドゥドゥー
volume_up
………………。
……そんな顔を、なさらないでください。
link
ドゥドゥー
volume_up
あなたは約束してくださった。
ダスカーの血を誇れる国を作ってやる、と。
link
ドゥドゥー
volume_up
あなたの築く王国では、ダスカーの民や
フォドラの民、そういった区別もなく……
link
ドゥドゥー
volume_up
何の気兼ねもなく、胸を張って、
あなたを友と呼べるのですか。
link
ディミトリ
volume_up
ああ、何度だって呼ばせてやる。
どれほどの苦労を背負おうと、俺は……！
link
ドゥドゥー
volume_up
……では、その日を迎えるために
おれも力を尽くしましょう。
link
ドゥドゥー
volume_up
……本当は、おれもずっと
あなたと……友人になりたかった。
link
ドゥドゥー
volume_up
……ですがそれまで、あなたの御身に
万一のことがあってはなりません。
link
ドゥドゥー
volume_up
良いですか、殿下。深夜に一人で
出歩かれる際には、必ずお声がけください。
link
ドゥドゥー
volume_up
たとえ昼間であっても、
行き先や何をするか、誰と会うかは必ず……
link
ディミトリ
volume_up
結局、この過保護ぶりのほうは
どうにもならなかったな……。
houses.fedatamine.com
