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ヒューベルト
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……どうやら無理が祟りましたな。
主に顔向けできません。
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リンハルト
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そうだよ、ほんとに。
ヒューベルトは働き過ぎなんだって。
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リンハルト
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僕みたいに、よく寝てよく休めば、
こうして倒れたりもしないのにさ。
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ヒューベルト
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貴殿に言われるのは癪ですが、
今はただ受け止めるしかありませんな。
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ヒューベルト
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私が倒れたのは事実ですし……何より、
貴殿に手厚く看病されてしまうとは。
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リンハルト
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どういたしまして。
僕だって人が倒れてたら、手くらい貸すよ。
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ヒューベルト
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いや、それはどうですかな。
恐らく人が出払っていたからでは?
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リンハルト
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他に押しつけられる人がいたら、
看病なんて面倒、するわけないよね……。
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リンハルト
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放置して問題になったら困るから、
仕方なくこうしてるんだよ。
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ヒューベルト
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そこで見捨てるような男であれば、
元々仲間とは思っていませんからな。
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リンハルト
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はは、僕も仲間じゃなきゃ
見捨ててるかもしれないね。
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ヒューベルト
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しかし……本当に惜しい。
貴殿の先程の処置は見事でした。
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ヒューベルト
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私を気遣いながら、怪我の有無を確認し、
楽な姿勢を作ってここまで運ぶ。
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ヒューベルト
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普段からこれだけ精力的に動き、
その知恵を活用してくれれば……
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ヒューベルト
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どれほど私たちに、我が主にとって、
役立つ人材になれるかと……。
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リンハルト
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また「我が主」か。
いいじゃない、僕みたいのがいても。
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リンハルト
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ほら、アリの巣の中でも、
2割ほどのアリがいつも働かずに寝てる。
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リンハルト
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その2割を巣から取り除くと、残りのアリの
2割が今度は働かなくなっちゃう。
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リンハルト
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そんなアリだって、他のアリがみんな疲れ
果てた、ここぞって時はちゃんと働くんだ。
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リンハルト
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人の営みだって、そんなもんだよ。
僕は、普段は働かないアリ。
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ヒューベルト
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たとえ貴殿の理論が正しかったとしても、
自身が働かないことを正当化されては……
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リンハルト
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僕からすれば、君たち主従は
働き過ぎなんだ。ほんとに。
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リンハルト
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二人揃って倒れたりされたら、
これ以上ないくらい面倒だから……
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ヒューベルト
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……今日だけは、貴殿に理がありますな。
その言葉に甘えることにしますよ。くくく。