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ドロテア
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こんにちは、ユーくん。
実は、一つお願いを聞いてほしいんだけど。
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ユーリス
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どうした、歌姫。そんな真剣な顔して。
……ん? 足、痛めたのか。
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ドロテア
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もうだいぶ平気よ。
でも忙しく動き回るのは駄目って言われて。
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ユーリス
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なるほど、それで俺にお願いってことか。
雑用くらいなら引き受けてやってもいいが。
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ドロテア
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雑用じゃないけれど……
貴方に歌劇の手伝いをお願いしたいの。
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ドロテア
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実は近々、有志の人たちで
歌劇を催す話があるのよ。
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ドロテア
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私も主役の一人として、
参加する予定だったんだけど……
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ドロテア
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この怪我でしょ。
先生が大事を取って休むようにって。
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ユーリス
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そりゃあ、そのほうがいいが……まさか
俺に代役でもやれってんじゃないだろうな。
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ドロテア
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ふふ、まさにそう言おうと思っていたの。
話が早くて助かるわ。
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ユーリス
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……もっと他にいるだろ。
ほら、マヌエラ先生とかさ。
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ユーリス
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……もっと他にいるだろ。
ほら、マヌエラ先生とかさ。
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ユーリス
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……もっと他にいるだろ。
修道院の中を探せば、いくらでも。
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ドロテア
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そんな簡単に代役が都合できたら、わざわざ
歌嫌いの貴方に頼んだりしないわよ。
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ユーリス
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だとしても、だ。俺は男で、お前は女。
同じようには歌えねえぞ。
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ドロテア
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お金を取るわけじゃないんだから、それで
いいのよ。逆に盛り上がるかもしれないわ。
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ドロテア
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今回の歌劇はね、大修道院で引き取った
子や貧しい人たちのためのものなの。
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ドロテア
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今回の歌劇はね、戦いで傷ついた人、親や
家を失った子たちのために開かれるの。
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ドロテア
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街の広場で、小さなお祭りみたいにして。
みんなに少しでも楽しんでもらおうって。
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ドロテア
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彼らの境遇を理解できる貴方なら、
きっと力になってくれると思ってるわ。
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ユーリス
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ああ、もういい。わかった。
やればいいんだろ、やれば。
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ドロテア
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ふふっ、ありがとう。
貴方って本当に優しい人ね。
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ユーリス
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お前……何を言えば俺を説き伏せられるか、
全部わかった上で喋ってんだろ。
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ユーリス
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そのしたたかさも、
歌姫時代に培ったのかよ?
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ドロテア
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さあねえ? でも確かに、歌姫の先輩がたは
美しさとしたたかさを兼ね備えているわね。
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ドロテア
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さ、そうと決まれば練習よ。
貴方を立派な歌姫に仕立て上げてみせるわ。