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クロード
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……ああ、あんたか。
どうしたんだ、こんな時間に。
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クロード
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そうか。考えるべきことが多いと、
なかなか寝つけないよな。
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何だか頭が忙しくてさ。
あれこれ考えてたら目が冴えちまった。
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クロード
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こういう時は、ぼんやり星空を眺めて
頭を冷やすんだ。ガキの頃からそうしてた。
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クロード
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だだっ広い星空を見てると、俺のちっぽけな
望みなんてすぐに叶いそうな気がしてさ。
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クロード
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ガキの頃は神様なんて信じてなかったが、
この星空が神様の代わりだったのかもな。
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クロード
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……なあ、先生。
もう少し話に付き合ってくれるか?
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クロード
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……とっくに気づいていると思うが、
俺はフォドラの外の世界で生まれた。
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クロード
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俺が生まれた土地では、フォドラの民は
“臆病者”と見下されててな。
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クロード
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俺にはその“臆病者”の血が、
半分だけ流れてた。母方のさ。
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クロード
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ガキの頃、俺が周りの連中から「異物」
扱いされてたのは、そういう訳なんだよ。
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クロード
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けど俺は、フォドラの民が臆病者じゃないと
知ってた。そんな見方は偏見だと。
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クロード
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何しろ、俺が一番よく知るフォドラの民、
つまり母さんは……
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クロード
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敵国の男に惚れて、フォドラを飛び出す
ような、破天荒で骨のある女なんだぜ。
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クロード
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だから俺は、馬鹿にする奴らをねじ伏せた。
臆病者じゃないと証明するために。
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クロード
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だが、俺一人認められても意味がないんだ。
土地に根づいた価値観ごと変えなきゃ。
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クロード
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俺は思い立って、フォドラを覗きに来た。
何か希望が見つかるんじゃないかってな。
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クロード
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ところがだ。こっちはこっちで、外の世界の
人間を、化け物か何かだと思ってやがる。
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クロード
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呆れたね。文化も信仰も違うってのに、
そこだけは同じだってんだから。
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クロード
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で、これはもう、この世界を全部まとめて
ひっくり返すしかないと思い至ったのさ。
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クロード
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……5年前、俺が士官学校に入ったのも、
その足掛かりを得るためだった。
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クロード
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同盟をまとめ上げて、フォドラを統一し、
そこから新しい価値観を描き直して……
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クロード
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その後は外の世界だ。
壁を壊し、雪崩れ込んで、ひっくり返す!
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クロード
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どうだ、荒唐無稽な夢物語だろ?
それとも壮大な野望だと思ってくれるか?
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クロード
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少し前までは、
我ながら無謀すぎると思ってたが……
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クロード
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最近、思うんだ。
あんたがいなきゃ、ここまで来れなかった。
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クロード
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けど、あんたと一緒なら、
どこまででも行けるってな。
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クロード
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だから、これからも俺の隣で、
一緒に歩み続けてほしい。
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クロード
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見たかった景色を、
一緒に見られる日まで。